日本経団連タイムス No.2813 (2006年5月18日)

ゲマール対仏投資誘致担当大使兼対仏投資庁長官と懇談

−仏の投資誘致政策など説明


日本経団連は4月26日、東京・大手町の経団連会館で、クララ・ゲマール対仏投資誘致担当大使兼対仏投資庁長官との懇談会を開催した。日本経団連からは、佐々木元・ヨーロッパ地域委員会共同委員長らが出席した。

ゲマール長官は、EU各国が投資先としての魅力向上に努力しており、加盟国間の競争も激しくなっているなか、日本からの対EU投資のうち、最大の投資先はフランスであると述べ、現在フランスには、自動車関係、エレクトロニクス関係を中心に日本企業が400社以上進出し、6万人以上の雇用を創出していると説明した。
また、ゲマール長官はフランスの投資誘致政策の特徴について、(1)将来の成長のカギとなる産業を誘致している(2)投資誘致政策策定のため首相に諮問する「フランスの魅力向上戦略審議会」を設置し、世界の25企業(うち5社は日本企業)がメンバーとして参加している(3)良い人材を惹きつけるため、個人所得課税の優遇、所得税制の簡素化、ビザの手続き簡素化、配偶者・家族の労働許可自動発行などを行っている(4)企業税制を国際的に最も優遇された水準としている(事業税は3.5%が上限)(5)フランス企業の買収を促進するため、買収後2年経過すれば売却時のキャピタルゲインを非課税としている(6)労働法制改革を実施、週35時間労働制を大きく修正し、残業時間が増加している(7)戦略的投資促進のためには、研究開発拠点の誘致がテーマであり、例えば、研究開発費の税額控除の対象を前年度からの増加分のみから研究開発費総額に改めた(8)航空やバイオテクノロジー、ナノテクノロジー、自動車、バイオ燃料などを対象分野とする産業クラスターを国内15カ所で形成している(9)産業革新庁を新設し、燃料電池、再生可能エネルギーなど革新的技術の製品化を支援している――ことなどを挙げた。
さらにゲマール長官は、「私の仕事は外国企業にフランスへの投資を促すことであり、この点ではEU内のほかの国と競合するが、フランス企業もEU拡大の恩恵を受けており、競合はEUにとっても、フランスにとっても良いことである」と述べた。

意見交換で、佐々木共同委員長は、日本の景気回復によって日本とフランスの経済関係を促進する好条件が整ってきていると述べるとともに、日本とフランスが2国間の経済関係強化を進めるのと同時にグローバルな課題の解決に向けて協力して取り組んでいくことの重要性を指摘。WTOによる貿易・投資の自由化推進や知的財産権の保護、地球環境問題などの解決を通じ、世界の安定と繁栄に貢献することが強く求められていると述べた。

【国際経済本部欧州・ロシア担当】
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