日本経団連タイムス No.2813 (2006年5月18日)

若者の人間力を高めるための国民会議第3回会合を開催


ニートやフリーターの増加といった若年者雇用の問題について、経済、労働、教育、地域社会など各界代表のほか、学識経験者等が議論を行う「若者の人間力を高めるための国民会議」(議長=奥田碩日本経団連会長)の第3回会合が9日、都内で開催された。この会議は、各種の取り組みが行われている「若者の人間力を高めるための国民運動」の基本方針を議論する場として位置づけられているもの。

冒頭のあいさつで川崎二郎厚生労働大臣は、「各界の積極的な取り組みにより、失業率と有効求人倍率はともに改善傾向にあり、高齢者の雇用も進んでいる。一方で、若年者の雇用については、失業率が依然高止まりしており、改善が遅れている」と指摘。また、「近年は新卒学生の就職率が上昇しているものの、いわゆる就職氷河期にフリーターになった人たちにはいまだ就職できない人が多く、年齢は30代になっているのが現状である。このような状況に対し、この国民運動を通じ、社会環境の整備を進めることで、若年者の雇用改善が図られるよう、協力を願いたい」と述べ、関係各界のさらなる協力を求めた。

続いて厚生労働省から、最近の若年者の雇用失業情勢についての報告および各界が取り組んできた活動についての報告があった。各界における取り組みは、前回の国民会議で取りまとめられた「国民宣言」と「国民運動推進の基本方針」に基づきそれぞれ実施されている。報告の中では、経済界の取り組みとしてインターンシップ受け入れ開拓事業の推進や、学校と企業・経営者の交流活動推進、デュアルシステムの推進などが紹介された。

その後、各委員が意見交換を行った。国民運動の広報啓発事業に参加した委員からは、「若者を支援する側の人間を育てることが必要であると感じた」「若者は多様な悩みをかかえており、それらの悩みに対して目配りをすることが大切である」「国民運動が一過性のものにならないよう、継続性を持たせることが何より重要である」といった、実際に若者とのやり取りを通じて得られた感想が述べられた。
さらに、そのほかの委員からは「何のために働くのか、その意味を伝えていくことが大切である」「国際社会を意識した教育の組み立てが必要である」「就職することだけでなく、起業という選択肢があってもいいのではないか」「フリーターが正社員になれれば良いということではなく、若者の新しいあり方を示していくべきなのではないか」など、それぞれの立場からの具体的な問題意識が提起され、多方面のテーマにわたる活発な議論が展開された。

政府はこれら委員からの意見を踏まえ、今後、関係省庁の連携を強化しつつ活動を行うとともに、この運動は継続していくことが重要である旨を確認した。さらに、国民運動を実効性あるものにするためには、政府の力だけで成し遂げることは困難であり、各界の取り組みが不可欠であることから、その協力を仰ぐこととした。

【労働政策本部雇用・労務管理担当】
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