日本経団連タイムス No.2814 (2006年5月25日)

奥田会長が任期中最後の記者会見

−在任4年間の所感など述べる


日本経団連の奥田碩会長は18日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。奥田会長は2002年5月28日に日本経団連の初代会長に就任して以降、これまで2期4年にわたり、月平均2回を上回る127回もの記者会見を行ってきたが、24日の第5回定時総会での会長職退任に伴い、会長任期中としては、今回が最後の記者会見となった。

会見の冒頭、日本経団連会長としての4年間について奥田会長は、「過ぎてみれば短かった」との所感を述べるとともに、多くの方々の協力と支援を得て、無事に会長職を務め上げることができたと謝辞を述べた。また、任期中の4年間に、日本経済が軌道に乗り、よい時期に任期を終えることができてよかったと語った。さらに奥田会長は、「現場から管理に至るまで、さまざまな仕事を経験し、最後には経団連会長まで務めることができたことは、神に感謝しなければならない」との思いを明かした。

一方、任期中で最も残念だったこととして、企業不祥事が起こったこと・防げなかったことを挙げ、「企業不祥事を根絶するには綱紀を糺すことが大事である」と述べ、企業不祥事の根絶が極めて重要であることを改めて強調した。

政治との関係については、改革志向という点で小泉純一郎総理と波長が合ったとした上で、政治との関係強化に努め、政権与党と歩調を合わせてきたことで、経済界の考えを政策に反映させることができたと総括した。

また、「政冷経熱」といわれている日中関係の現状について問われた奥田会長は、経済関係が悪化するとの懸念は持っていないとした上で、日中両国の政治的な関係がよくなるよう、経済の側から働きかけたいとの意向を示した。

「日本人の心に関する問題や社会へ訴えたいメッセージは何か」との問いに対して奥田会長はまず、成功した者に嫉妬する「嫉妬の経済」をやめ、成功した者を褒め称え自分も成功すべく努力する「称賛の経済」に向かって、心の持ち方を変える必要性を強調。さらに、物事を「カネ」や「モノ」といった物質面だけを尺度とするのではなく、「心」を尺度とすることが大事であると述べるとともに、「それができなければ、日本は世界の中で尊敬される国にはなれない」と警鐘を鳴らした。

【社会本部広報担当】
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