日本経団連タイムス No.2817 (2006年6月15日)

「日本経団連フォーラム21」第17期開講

−御手洗チーフ・アドバイザー「リーダーの役目」示す


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は、次代の産業界を担うリーダー育成を目的として毎年実施している講座「日本経団連フォーラム21」の第17期開講式を5月31日、都内で開催した。開講式には、第17期のメンバーとなる企業の若手役員・部長クラス32名のほか、チーフ・アドバイザーを務める御手洗会長、アドバイザーの山内昌之・東京大学大学院総合文化研究科教授、竹内弘高・一橋大学大学院国際企業戦略研究科長らが出席。アドバイザーがあいさつした後、メンバーが自己紹介を行い、フォーラムに参加するに当たっての期待や抱負などを語った。

あいさつの中で御手洗チーフ・アドバイザーは、戦後の経済の流れを概観した上で、いまが従来の経営の考え方を大きく転換させるべきときであることを指摘。低価格の製品を大量生産する産業・経営から、高付加価値の製品を生み出す産業・経営への転換を促進していく必要があると述べた。その上で、こうした時代の転換点において、特に経営者に求められるのは、リーダーシップであることを強調した。
このリーダーシップについて御手洗チーフ・アドバイザーは、一番大事な要素は時代に対する洞察力、先見性、これらに基づいて変革を行う勇気であるとの考えを示した。さらにリーダーの重大な役目として「目的をつくること」を挙げ、(1)例えばメーカーの社長として目的をつくるなら、自社製品の技術動向や市場動向、先行きや変化などをきちんと見て、自社の実力がどれだけあるのかという現状把握と分析を行う必要がある(2)目的は、それらの事項を全部把握した上で、相談は行うにしても、リーダーが自分で、命がけでつくるべきものである(3)リーダー自らが命がけで目的をつくるということは、社長のみならず、部長、課長など各層のリーダーにおいても同様である(4)経営計画はリーダーが自分でつくるが故に、それに対して愛情を持つことができ、自分の面子をかけて、どうやってこれを達成しようかと必死になれるのである(5)集団というものはトップが全責任と自分の運命をかけて目的をつくり、集団の構成員を説得して率いていくものである――と説明した。
その上でフォーラムメンバーに対し、「リーダーシップというのは、勇気を持って変化を自ら起こして(時代を)乗りきっていくということと、そのために時代の流れを把握して、それに立脚した目的を自分でつくって部下をリードしていくということである。ぜひそのことを、いろいろな角度からこのセミナーで学んでいただきたい」と述べた。

メンバー一人ひとりの自己紹介では、「知識や視野、人脈を広げたい」「一流の講師の方々との議論で見識を高めたい」「異業種のメンバーと交流し、さまざまなことを吸収したい」など、フォーラムへの期待や抱負が述べられた。

◇ ◇ ◇

第17期の総合テーマは「未来企業のリーダーシップを学ぶ」。来年3月まで、企業経営や国際関係、労使関係・雇用問題、歴史、政治・経済・社会問題など広範な分野について、各界の第一人者の講演を聴取、メンバー間での討議を行うほか、合宿研修や洋上集中講座、海外視察なども実施する予定。

【事業サービス本部研修担当】
Copyright © Nippon Keidanren