日本経団連タイムス No.2821 (2006年7月13日)

日本ブラジル経済委員会06年度総会を開催

−最近のブラジル情勢など、アマード駐日大使から聴取


日本経団連の日本ブラジル経済委員会(槍田松瑩委員長)は6日、東京・大手町の経団連会館で2006年度総会を開催した。総会では、05年度事業報告・収支決算や、06年度事業計画・収支予算等を承認したほか、アマード駐日ブラジル大使から最近のブラジル情勢と日本との関係について聞いた。

日伯経済関係の拡大求める

アマード大使は、「ブラジルにとって日本はアジアの戦略的パートナーであり続ける」との考えを示した上で、(1)1990年には、ブラジルと日本との通商がアジア地域のブラジルの通商の52%を占め、ブラジルの対外貿易全体の7%を占めていたものが、2005年にはそれぞれ19.4%、3.6%に後退した(2)現在、ブラジルと中国との貿易額は日本との取り引きの約2倍である(3)かつて日本はブラジル産業を近代化するために不可欠なパートナーであったが、05年にはブラジル向けの日本の投資は全体で第10位にとどまった――といった現状を指摘。こうした状況を変えるには、「強い決意と大胆な行動が必要である」と述べ、05年にブラジルのルーラ大統領が日本を訪問した際に、小泉純一郎総理大臣と「両国間の経済・通商関係の再活性化を目指した共同宣言」に調印したことに言及、「両首脳間の約束を実施に移すために、日本経団連は不可欠な役割を担っている」との考えを示して、日伯経済関係拡大への日本経済界の協力を求めた。

またアマード大使は、両国間の経済・通商関係を拡大強化するためのポイントとして、石油やエタノール、バイオディーゼル燃料、デジタルテレビ、ソフトウェアなどを挙げた。このうち石油については、「日本との間で新しいパートナーシップを結ぶことによって、新しい油田、とりわけ深海油田の掘削に大きな展望が開ける」として、ブラジルが日本の石油の供給源多様化に貢献可能であること、中東産原油への依存度を削減するという日本のエネルギー戦略に沿った協力ができることを強調した。

またエタノールについては、「日本のエネルギー源の選択肢としてエタノールを加えることをめざし、日本側からの大胆な取り組みが期待される。ブラジルは世界で最も競争力を備えたエタノール生産国であり、生産、販売、輸送ロジスティックに関して多くのビジネスチャンスを提供できる。この分野のビジネスポテンシャルを事業化するためには日本側でも準備が必要である。長期の輸出契約を結ぶことによってブラジルは中・長期のエタノール生産計画を策定し、安定した供給を行うことが可能になる。ブラジルは日本をエタノールの単なる輸出先としているわけではないことを強調したい。双方にとって有利なパートナーシップを結びたい」と述べるとともに、「ブラジル側は、日本が経済規模に見合った量のエタノールの安定供給を確保するに当たって悠長に構えていては、契約や供給保証に関して他の競争相手に後れをとるのではないかと懸念する。欧米はエタノールの実用化と競争力確保に関して、既に全速力で走り出している。日本は多くの技術分野で最先端にあるが、エタノールに関して後れをとることは、われわれにとっても残念」と語った。

【国際第二本部中南米・中東・アフリカ担当】
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