日本経団連タイムス No.2822 (2006年7月20日)

知的財産委員会を創設/第1回委員会を開催

−「知的創造サイクル」確立へ、4重点課題中心に活動


日本経団連は知的財産委員会(野間口有委員長)を創設し、7日、東京・大手町の経団連会館で第1回委員会を開催した。知的財産委員会は、これまで産業技術委員会と産業問題委員会で行ってきた知的財産への取り組みを、今後さらに強化・拡充するために新たに創設されたものである。

グローバル競争が激しさを増す環境の中で、わが国産業が持続的な発展を果たしていくためには、イノベーションの創出を加速し、高付加価値化を実現していくことが不可欠である。そのためには、質の高い知財を生み出し、迅速に権利として保護し、実用化・商品化を図っていく「創造」「保護」「活用」の「知的創造サイクル」を確立し、投資の回収、再投資を進めていくことが重要である。新委員会では、これまで政府の知的財産戦略本部が策定した知的財産推進計画によって進められてきたさまざまな改革の成果を、確実に「知的創造サイクル」の確立やイノベーションの創出につなげていくべく活動を行っていくこととしている。
組織としては、知的財産委員会の下に「企画部会」「国際標準化戦略部会」「著作権部会」の3つの部会を設け、(1)基本特許が多く生まれるような環境づくり(2)特許制度の国際的な調和(3)デジタル化・ネットワーク化時代における著作権のあり方の検討(4)政府において今年度策定予定の国際標準化総合戦略への意見発信――の4点を、重要課題として取り上げる。そして、その成果を知的財産推進計画の実施や改定作業に反映すべく働きかけていくこととしている。

第1回委員会では、冒頭、野間口委員長が、「わが国が世界のイノベーションセンターになるために、この知的財産委員会が重要な役割を果たしていきたい」とあいさつ。続いて、来賓の荒井寿光内閣官房知的財産戦略推進事務局長が、「世界最先端の知財立国をめざす―知財戦略は第2のステージ」と題する講演を行った。講演の中で荒井事務局長は、「第1期知的財産戦略の3年間に知的財産高等裁判所の発足をはじめ、さまざまな成果を挙げることができたが、2006年度から始まる第2期知的財産戦略では、世界最先端の知財立国になることをめざす。そのための主な課題として、(1)特許審査の迅速化(2)ニセモノ対策(3)コンテンツ大国の実現(4)知的財産の活用(5)知財人材の育成・活用(6)産学連携(7)中小・ベンチャー企業支援――などに取り組んでいく」と説明した。

これに対し、日本経団連側からは、「制度の国際的な調和を進めるべきであるが、相手国に対して一方的に制度改正をお願いするのではなく、日本としても必要な部分は改正していくことが大事である」「新しいハードの製品が生まれ、それをもとにビジネスを展開していく上では、ソフト個々との協調が不可欠である。ソフト側の対応が遅れてしまうとビジネスは飛躍できない。こういった点について国全体でどうするかを考えていくことが重要である」「知財専門人材の倍増計画は大事だが、質の充実も重要である。また、産業界としても、そういった人材をよく活用していかなければならない」といった意見が出された。
その後、野間口委員長から知的財産委員会の活動方針について、続いて知的財産委員会企画部会の加藤幹之部会長から、先述の4つの重要課題を含め、今後の主な活動について説明が行われた。

【産業第二本部開発担当】
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