日本経団連タイムス No.2832 (2006年10月5日)

日本経団連訪欧ミッション派遣/バローゾ欧州委員長と懇談

−御手洗会長、WTO新ラウンド交渉再開へEUの積極的取り組みを要望


9月28日から10月8日の日程で訪欧中の御手洗冨士夫日本経団連会長は、現地時間の9月29日午後、訪問先のブラッセルで、欧州委員会のバローゾ委員長と会談した。

御手洗会長の今回の訪欧は、会長就任後初となるミッションとして、三木繁光、出井伸之、米倉弘昌、草刈隆郎、張富士夫、岡村正、渡文明、江頭邦雄の各副会長とともにベルギー(欧州委員会)、ドイツ、フランス、英国を訪問。各国・地域の政府首脳や、主要経済団体との意見交換を通じ、(1)EUの拡大・深化の現状と見通し(2)日欧経済関係の強化(3)グローバルな課題をめぐる協力のあり方(4)日欧の抱える共通課題への取り組み――などについて理解を深めるとともに、対応策を探ることを目的としている。

バローゾ委員長との会談では冒頭、御手洗会長が、現在中断しているWTO新ラウンド交渉の早期再開に向け、EUとしても積極的に取り組んで行くよう求めたほか、日欧の会計基準のコンバージェンスを進め、相互の基準を認め合うことが日欧の経済関係を一層緊密化していく上で重要であると述べた。

これに対し、バローゾ委員長は、多角的貿易体制を維持、強化することは極めて重要であり、新ラウンド交渉の中断が長引けばグローバルなレベルでの貿易体制の不安定化を招き得るとして、欧州委員会としても交渉再開を明確に支持していると応じた。また、会計基準の問題に関しては、日本側の懸念については十分理解しているとし、双方の規制改革を促すことを目的とした政府間の枠組みである日・EU規制改革対話の場において扱っていくと述べた。
このほかバローゾ委員長は、欧州企業が日本でビジネスを行う上での懸念について、擬似外国会社(会社法821条)の問題や、三角合併における課税繰り延べの問題などに触れ、日欧双方の経済界が直面する問題を解決することで、日欧間の貿易、投資の一層の拡大に努めることが肝要であると発言した。

ミッション初日となる29日は、バローゾ委員長のほか、アルムニア欧州委員会経済・通貨担当委員、欧州産業連盟(UNICE)を訪問し、BRICs市場の見方、地球環境問題、エネルギーの安定供給などについて意見交換を行った。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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