日本経団連タイムス No.2832 (2006年10月5日)

地域活性化委員会を開催

−政府の取り組み聴取/今後の活動方針などで論議


日本経団連の地域活性化委員会(辻井昭雄委員長)は9月22日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、松井哲夫・中小企業庁経営支援部長から「地域活性化にむけた政府の取り組み」について講演を聴取するとともに、今後の活動方針などについて意見交換を行った。

冒頭、あいさつした辻井委員長は、地域経済の活性化の重要性を改めて強調するとともに、今後同委員会において、地域経済活性化における企業の役割について検討していきたいとの意向を示した。講演聴取後には、今後の検討テーマについて意見を交換。「地域経済を活性化させる施策と地元企業の役割」について検討することが決まったほか、今後の活動については企画部会を設置し、具体的検討を行うことを決定した。松井氏の講演要旨は次のとおり。

日本経済は、緩やかな回復局面が長く続いているが、規模・業種においてばらつきがある。大企業・製造業の回復は顕著だが、中小企業の回復ペースは遅く、地域においても、輸出・設備投資関連の大企業と関係の深い地域は好調だが、そうでない地域、とりわけ従来公共事業に依存してきたようなところは景気回復から取り残されている。
政府は「新経済成長戦略」を打ち出し、イノベーションを核とした、世界経済および地域経済の好循環を掲げた。これを具現化するためには、中小企業の活性化が重要であろう。
中小企業庁は、中小企業の支援策として「地域の応援」「企業の応援」「ヒトの応援」の3つの切り口から施策を展開している。

まず、地域の応援策として、「地域資源活用化プログラム」を打ち出した。これは、地域がもっている技術・農水産品・伝統文化といった資源を再度見直し、ブラッシュアップすることで、他の商品との差別化を図り、コスト面以外での競争力を持った事業を生み出そうというものである。具体的には、(1)研究開発、市場開拓への資金面での支援や税制優遇(2)外部人材とのネットワーク構築やマーケティングなど、ノウハウに精通した専門家によるハンズオン支援といったヒトのコーディネート――などの支援を行う。同プログラムでは、5年間で1000の新事業創出をめざしている。
さらに、地域の応援策として、「まちづくりの推進と商店街の振興」も掲げている。2006年5月に中心市街地活性化法が改正された。同法では、人口減少という状況の中、「コンパクトシティ」を指向し、郊外立地によって空洞化が進んだ中心市街地を再び活性化するため、「選択と集中」による支援を行うほか、地域コミュニティーの顔である商店街の振興を図り、空き店舗を利用した育児・介護施設の設置等を支援していくこととしている。

企業の応援策としては、「モノ作り中小企業の高度化支援」を掲げている。06年に成立した「中小ものづくり高度化法」に基づき認定を受けた、基盤技術の研究開発に対する補助金や、工業高校・高専の実践教育、就業環境の整備に取り組む。
中小企業の再生推進と金融円滑化も重要な課題である。産業再生機構の中小企業版とも言うべき「中小企業再生支援協議会」は、すでに千件単位で再生支援の実績がある。また、中小企業の景気回復が遅れている現状の下では、その意義は依然として大きいといえる。

ヒトの支援としては、いったん失敗した起業家が再チャレンジできる仕組みの整備や、女性・OB人材・若者を活かした事業展開の支援等に取り組んでいる。

【労政第一本部企画担当】
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