日本経団連タイムス No.2832 (2006年10月5日)

「規制改革・民間開放推進会議の最近の活動について」

−宮内義彦・規制改革・民間開放推進会議議長が理事会で講演


日本経団連は9月19日、東京・大手町の経団連会館で理事会を開催、議件の審議に先立ち、宮内義彦・規制改革・民間開放推進会議議長(日本経団連評議員会副議長)が、「規制改革・民間開放推進会議の最近の活動について」と題して講演した。概要は以下のとおり。

規制改革への取り組みの歴史は、1995年の行政改革委員会規制緩和小委員会の発足から数えて、今年で12年目を迎える。この間、日本経団連には一貫して力強い支援をいただき、感謝している。2004年に現在の規制改革・民間開放推進会議が発足する以前は、民間企業の活動に対するさまざまな規制や行政指導を取り除き、市場の競争に委ねていくための法制度の整備などが規制改革の主たる内容だった。その結果、民間部門に対する規制改革は相当程度進展し、当会議の活動は民間部門から非民間部門、いわゆる社会的規制の改革に軸足を移してきている。すなわち、医療や教育などわが国の社会制度の改革や、官が運営する事業分野の効率性をいかに高めていくかという点が中心である。これは官から民への事業の開放を含む、社会の枠組みそのものの改革であることから、非常に困難な作業となっている。

当会議では、本年12月に最終答申を行う予定であるが、残された期間で最大の成果を上げるために、放送・通信、教育など6分野を重点検討事項に掲げ、7月に中間答申を発表した。例えば、放送・通信関連規制の見直しは、融合する通信および放送サービス全体に大きな影響を及ぼす問題である。また、教育分野では、教育バウチャーの導入により、学校教育に良い意味での競争が生まれ、より質の高い教育の実現を図ることができる。改革の動きは緩やかであるが、検討を重ね、前向きに進めていくことが必要である。
一方、特定の地域で実験的に規制改革を行い、特段の支障がなければ全国的に展開するという構造改革特区制度や、市場化テストによる官業の民間開放などの手法もある。本年7月には、市場化テスト法(公共サービス改革法)が施行された。官業について、市場化テストという形で、官民で一種の競争入札を行い、民間がより効率的に実施できることが証明されれば、その事業を民間に移管するという仕組みができた。また、官がそのまま事業を継続することになっても、民間と同様の効率性や公共サービスの質の向上を達成しなければならなくなる。この制度により、今後多くの官業の効率化や民間開放が期待される。初年度の06年度は、ハローワークや社会保険庁関連事業が対象事業に選定された。今後すべての官業が対象になることから、抵抗も予想されるが、当会議では今後、12月の最終答申に向けてできる限り幅広く、必要な改革が着実に実行されるよう、関係省庁と折衝を行っていく予定である。

当会議は、来年3月末に設置期限を迎える。規制改革ではまだまだ大きな課題があることから、後継機関の設置が不可欠である。またその際、現在の会議が有する権限、機能をより強化して後継機関に持たせることや、規制改革の実現に向けて強い意志を持った民間の委員で構成されること、さらにその民間委員が改革すべき課題を自ら提起し、関係省庁と自ら折衝する形を受け継ぐこと、そして政府が答申の中身を最大限尊重し相互の信頼関係の下に会議が運営されることが必要である。
官業を民間に開放し、競争原理を導入することで、わが国の経済システム全体がより効率的なものになっていくことを期待している。日本経団連のより一層の支援をお願いしたい。

【総務本部総務担当】
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