日本経団連タイムス No.2833 (2006年10月12日)

労働法規委員会・労働法企画部会合同会合を開催

−森山・厚労省審議官から労働契約法制・労働時間法制の審議状況を聴取/法整備の必要性強調


日本経団連の労働法規委員会(藤田弘道委員長)と、その下部組織である労働法企画部会(小島浩部会長)は9月29日、都内で合同会合を開催した。会合では、森山寛・厚生労働省審議官(労働基準担当)から、労働契約法制・労働時間法制の審議状況について聴取した。

森山審議官は、6月に厚労省が提示した素案に対し労使が強く反対したため審議が中断し、9月に改めて論点を大幅に圧縮した新しい素案を提示するまでの経緯について説明。労働契約法制および労働時間法制の今後の検討に関しては、「就業形態の多様化や個別労働紛争の増加、長時間労働問題に対応して、多様な働き方を実現できる労働環境を整備するため、労働契約法制・労働時間法制の整備が必要である」と強調した。
労働契約法制については、「法の性格として労使が十分な話し合いの下で労働契約の内容を自主的に決めていくことを促進する法律であり、労働基準監督署による監督指導が行われるものではない」と説明。労働契約の成立・変更等の場面における就業規則による労働条件の変更、判例や実務に即した出向・転籍・懲戒等のルールの明確化、労働契約終了の場面における解雇の金銭解決の仕組みや有期労働契約に関する検討の方向等について解説した。
一方、労働時間法制については、「産業構造の変化が進む中で、就業形態が多様化し、長時間労働者の高止まりが見られることから、仕事と生活のバランスのとれた働き方を実現していくために労働基準法の整備を行うことが必要」と指摘。長時間労働対策として、一定時間数を超えた時間外労働をさせた場合の割増賃金の割増率引き上げやホワイトカラーエグゼンプション制度の創設、企画業務型裁量労働制の見直しのほか、時間単位での年次有給休暇の取得を可能とすることなどの論点について説明した。

厚労省は、労働政策審議会で労働契約法制と労働時間法制の議論を併せて行い、労使の意見がまとまれば2006年末に建議を取りまとめ、07年の通常国会に労働契約法案と改正労働基準法案を提出したいとの意向である。

この日の会合では、事務局から労働契約法制・労働時間法制について、労働条件分科会の審議状況を説明。日本経団連としては引き続き労働法企画部会において検討を行い、かねて主張しているホワイトカラーエグゼンプション制度や、解雇の金銭解決制度についての早期導入、法案化を要望していく考えである。また、船員保険と労災保険との統合問題、特定健診・保健指導の義務化、労働安全衛生法の健診義務との関係などについて報告が行われた。

【労政第二本部労働法制担当】
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