日本経団連タイムス No.2834 (2006年10月19日)

日本経団連グリーンフォーラム10月講座開催

−「プロジェクトマネジメント」テーマに/プロジェクトの立ち上げの理論と実践を学ぶ


日本経団連グリーンフォーラム10月講座は、「プロジェクトマネジメント」をテーマに、西村克己・芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授が講師を務め、プロジェクト立ち上げの理論と実践を学んだ。

講義はまず、プロジェクトとは「特定の目的を達成するための臨時組織による活動」と定義付けることからスタート。西村講師は、古くはピラミッドの建設、忠臣蔵の赤穂浪士討ち入りも、それぞれ1つのプロジェクトであると指摘し、プロジェクトによる業務の推進を実施するようになった要因として、変化のスピードが速く、変化しないことのリスクが高まったことや、現状の延長線上に解のない時代を迎え、既存組織と異なる価値観を醸成する必要性が出てきたことなどを挙げた。

また、プロジェクトマネジメントを成功させるさまざまな原則の中で、(1)PDCAのサイクルをしっかり回すこと(2)What(目的)を中心に「5W1H」を明確にすること(3)メリット・デメリットを考え自社に合った形で組織を立ち上げること――などが重要であると同時に、プロジェクトオーナーやフォーマットを明らかにした上で目標達成に向かうことが求められることも強調した。

プロジェクトを遂行する手法としては、作業項目を明確化し、計画と成果を検証する「ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー」(以下、WBS)を紹介。WBS手法では、プロジェクト活動に必要な全作業を管理可能ないくつかのレベルに分割し、レベル分けによる作業1つ1つの解析が不要な業務の削減や、見えなかったものが見えてくる効果を生むことなどを示した。

次に、プロジェクトを計画するに当たっては現状分析で解決策のヒントを探すこと、併せて情報共有化のためにガイドラインを策定しルールを確認すること、文書レベルでの情報伝達を徹底することなど、プロジェクトを成功に導く重要な要素を解説。計画策定後、意思決定をし、仕組みをつくり、実行に移すことになるが、西村講師は、その途上で起こった問題には素早く対策を立てること、プロジェクトの成果は達成目標で評価することなどを示唆した。

講義終了後、参加者は4グループに分かれ、「脱サラからコンビニエンスストアを開店するまで」をプロジェクトテーマに、WBSの手法を用いたプロジェクトマネジメントを実践。各グループの成果発表に西村講師が講評し、講座を終了した。

同フォーラム11月講座では、梅津アドバイザーを講師に、各界の優れたリーダーに共通するコンピテンシーを明らかにするとともに、前期講座を振り返り後期講座の充実を図る。

【事業サービス本部研修担当】
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