日本経団連タイムス No.2836 (2006年11月9日)

第59回東北経営者大会開く

−「活力と魅力溢れる豊かな東北」実現へ


東北6県の経営者協会による第59回東北経営者大会(主催=東北経営者協会、福島県経営者協会連合会、協賛=日本経団連)が10月31日、福島県郡山市内で開かれた。同大会には、東北6県の経営者協会会員企業の代表者ら約550名が参加。日本経団連の御手洗冨士夫会長が基調講演を行ったほか、地域振興や産業振興、雇用・労働、社会保障、政治・経済の問題などについて、和田紀夫副会長・地方団体長会議長、辻井昭雄地方団体長会副議長・地域活性化委員長、岡部弘地方団体長会副議長、加藤丈夫労使関係委員長ら日本経団連首脳と参加者が意見を交換。大会の最後には、「活力と魅力溢れる豊かな東北」の実現をめざし、一体となって取り組むとの決意を示した「大会決議」を採択した。

福井邦顕福島県経営者協会連合会会長、幕田圭一東北経営者協会会長の主催者あいさつ、川手晃福島県副知事の来賓あいさつ(代読)に続いて、「東北を『希望の国』に」をテーマに基調講演を行った御手洗会長は、「希望の国」とはすべての人に挑戦の機会が平等に与えられるとともに、もし挑戦に敗れた場合にも再挑戦の機会が与えられ、何らかの理由で挑戦に参加できない人たちにはセーフティーネットが用意されている社会であると定義。そうした社会の前提となるのは、持続的な安定成長であるとの考えを示した。

最近の日本経済の情勢について御手洗会長は、着実に回復を続けており、バブルの反省から慎重さを残しつつも、いつまでも後ろ向きの姿勢では取り残されてしまうという意識が出始めている一方で、いわゆる地域間格差の存在が指摘され、この点が有効求人倍率にも表れていると述べた。その上で、地方と東京などとの格差を埋めるための有効な手段は、各地域が自ら、それぞれの特色を最大限に活かしながら新しい経済圏をつくっていくことだとの見解を示した。東北地方については、東北大学を中心とする諸大学を技術革新のための「センター・オブ・エクセレンス」として産学連携に積極的に取り組み、地域全体の産業競争力が高まるよう期待していると述べた。
このほか御手洗会長は、「希望の国」実現に必要なものとして、倫理観や公徳心を涵養する家庭・学校・地域社会による教育、また企業倫理の確立を挙げた。

参加者と日本経団連との意見交換では、参加者から、(1)道路特定財源の一般財源化の動きを含めた地方の道路整備の考え方(青森経協)(2)地域格差問題がある中での地方における中小企業の振興策(岩手経協)(3)地方の雇用格差是正や再チャレンジできる社会づくりへの取り組み(秋田経協)(4)社会保障制度改革に対する考え方(山形経協)(5)地域間格差の是正に関する取り組み(宮城経協)(6)労働契約法、労働時間法制、ホワイトカラーエグゼンプションに対する取り組み(福島経協連合会)――などについての質問や意見表明があり、日本経団連首脳が応えた。
大会ではこのほか、東邦銀行頭取の瀬谷俊雄氏の特別講演「いま問われる地方の時代」を聴いた。

大会の最後には、(1)地方の産業振興においては、中小企業の経営基盤構築のための事業転換や新分野への進出等に対する融資制度のさらなる充実に向けて取り組むこと(2)若年層の雇用改善については、適切な政策運営により経済を活性化し、雇用機会を拡大するとともに国・地方自治体、教育界、産業界の連携を一層強化し、雇用格差の是正と再チャレンジできる施策を推進すること(3)パート労働者の厚生年金加入の拡大については、その負担のあり方について慎重に検討すること。少子化対策として、国・地方自治体においては保育サービスの充実や地域における子育て支援の環境整備を図ること(4)経済基盤となる道路ネットワークについては地域の要望を十分にくみ取り、着工の優先順位を考慮しながら計画的に実施すること――などの諸点を、政府や関係機関に対して要請する「大会決議」を採択した。

【総務本部組織協力担当】
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