日本経団連タイムス No.2837 (2006年11月16日)

国際商業会議所ウクライナ委員会代表団と懇談会開催

−ウクライナの魅力を紹介、日本企業の進出など促す


日本経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で国際商業会議所ウクライナ委員会代表団との懇談会を開催した。ウクライナからはシチェルクノフ国際商業会議所ウクライナ委員会会長、コリャデンコ国際商業会議所ウクライナ委員会投資評議会会長、ソロンチュク・ボリスポリ国際空港公団総務担当第一副総裁、ゴルボフ・ウクライナ化学連盟会長、ムシェンコ「Topaz-Electronics」建設担当副社長らが出席。日本経団連からは辻亨日本NIS経済委員会副委員長らが出席した。懇談会におけるウクライナ側出席者の発言要旨は次のとおり。

〈シチェルクノフ国際商業会議所ウクライナ委員会会長〉

日本企業には、もっとウクライナに進出してほしい。外国投資家が問題を感じることのないよう、当委員会として最大限の努力をし、必要なコンサルティングを行っていきたい。当委員会では既に米国や英国、フィンランド、アラブ諸国、イタリア等との協力の実績がある。問題が生じた場合は最高のレベルで解決に当たりたい。

〈コリャデンコ国際商業会議所ウクライナ委員会投資評議会会長〉

ウクライナの投資環境は整備されてきており、外国投資家に良い条件を提供できる。法律面の改革等によって、外国投資家の権利保護は十分可能である。
ウクライナはイノベーション型経済への移行を進めているところであり、鉱業や製鉄、化学といった産業部門の近代化が最重要となっている。また、新技術導入によるインフラ整備を重視しており、優先分野は運輸である。
ウクライナへの投資の魅力としては、まず地理的有利さがある。ロシア、アジア、欧州を結ぶ拠点であり、黒海、アゾフ海への出口も有している。観光資源も豊富である。世界のマンガン生産の40%を占めているほか、教育水準が高く、バイオやIT分野も進んでいる。宇宙開発も有力分野である。航空機も独自に開発・製造できる。エンジニアのレベルが高く、高品質の製品を開発できる。
ウクライナの2006年のGDP成長率は約6%で、信用格付も上がっている。外国直接投資受入額は約188億ドルで、まだ十分ではない。消費市場は4700万人と大きい。今年末にはWTO加盟を果たせるのではないか。外国直接投資の分野としては従来、重工業の比重が大きかったが、金融やハイテクなどが伸びてきている。
共同プロジェクトの開発で日本と協力できることを期待している。日本と協力し、投資環境をさらに改善していきたい。

〈ソロンチュク・ボリスポリ国際空港公団総務担当第一副総裁〉

経済発展の重要施策であるボリスポリ国際空港の整備については、既に日本との協力が進められている。05年6月に、空港拡張に際しての日本政府からの貸付契約に関する法律が批准された。
現在、同空港では41の外国航空会社、37の国内航空会社が運航しており、世界94都市と結ばれ、ウクライナの全旅客の60%が利用している。
今年のフライト数は8万本を予定しており、貨物・郵便取扱量も大きく増加している。旅客数は2020年以降、1800万人に達すると予想され、年間2000万人の処理能力をもつターミナルを新設する予定である。08年から滑走路の改修作業を行い、10年には貨物ターミナル、ビジネスゾーンのリニューアルを予定している。中東欧のハブ空港として発展させていきたい。

〈ゴルボフ・ウクライナ化学連盟会長〉

ウクライナには240以上の化学関連企業がある。05年の化学部門の生産高は50億ドルで、GDPの7%を占めた。また、化学部門はウクライナの輸出の10%を占めている。過去5年間の化学分野の製品生産は、毎年10〜16%の伸びを示している。
化学分野では研究開発、近代化に力を入れ、企業のリストラも精力的に実施してきた。しかし生産の伸びは限界を迎え、さらなる新規開発が必要とされている。近代化のプロセスには相当量の投資が必要である。
アンモニアについては、日本企業の参加を得て、新世代の生産ラインを開発済みである。ほかに硝酸、硝石、無機肥料、タイヤ、塗料などの生産も行っている。
二酸化チタンは年産12万トンで、120カ国以上に輸出している。生産設備の改修・増産を行っており、プロジェクトへの日本企業の参加を期待している。

〈ムシェンコ「Topaz-Electronics」建設担当副社長〉

キエフの衛星都市建設プロジェクトは、コテージハウスタウンをつくるというものである。用地は1500ヘクタール、居住者10万人、住宅建設費20億ドル強、住宅以外の建設費20億ドル弱で、実施期間10年を予定している。道路や通信、電気、水道などのインフラ整備を含めた総合開発である。
総収益は80億ドル、利益は40億ドル、公共サービス企業の利益は年5億ドルと予測されている。投資の担保は土地である。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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