日本経団連タイムス No.2839 (2006年12月1日)

ベトナム経済ミッション派遣/安倍首相の外交日程に合わせて実施

−日越首脳らと会合/経済界の期待、要望伝える


日本経団連は11月19日から20日にかけて、御手洗冨士夫会長を団長とするベトナム経済ミッション(団員総数134名)をベトナム・ハノイに派遣した。同ミッションは、内閣総理大臣の外交日程に合わせて派遣した初めての日本経団連ミッションであり、日越両国政府はじめ関係者から極めて高い評価を得た。

日越両国政府などから高評価

今回の訪問では、日越首脳とミッション首脳(御手洗会長以下12名)との会合や、「日越経済セミナー」(ベトナム計画投資省・日本経団連共催、日越双方で約600名が参加)、さらにはチェット国家主席への表敬など種々の懇談・行事において、日本経団連から経済界の期待、要望をベトナム政府首脳に伝えた。具体的には、来年1月から政府間交渉が開始される日越経済連携協定(EPA)について、包括的で自由化度の高い協定を、可能な限り1年以内に締結するよう求めた。
併せて、ベトナムの産業競争力強化をめざし、同国の投資環境上の問題(税制、労働、税関・物流等)につき、日越両国政府と日本経済界が連携して検討を重ねている「日越共同イニシアティブ」については、そのさらなる推進を通じた一層の投資環境整備に対する期待を表明した。

これに対して、ズン首相やフック計画投資大臣らベトナム政府首脳からは、両国経済関係を一層強化すべく、さらなる投資環境改善に向け努力する旨の決意表明があった。とりわけズン首相からは、「日本で最も重要な経済団体である日本経団連がベトナムに関心を寄せていることは大変意義深い。これだけの規模のミッション派遣は両国の経済関係を大きく前進させるものであり、高く評価したい。ベトナムとしても、新たな投資機会を提供していきたい。日越関係は新たな段階を迎えており、ともに発展できることを確信している」との歓迎の意が表明された。

また、チェット国家主席からは、「日本経団連が要望する物品貿易の自由化や知的財産権の実効ある保護については、問題意識を共有している。今後、ベトナムの世界貿易機関(WTO)加盟に伴い、国際的なルール順守や国内法制の整備など、着実に対応していく所存である。具体化に全力を尽くすというのが、政府の政治的決意表明である」という力強い発言があった。

官民連携の意義、安倍首相が強調

一方、日本経団連にミッション派遣を要請した安倍晋三総理は、「御手洗会長を団長として130名を超える大規模な経済ミッションが実現したのは、経済界のベトナムへの高い関心の表れにほかならない。EPAの早期締結、日越共同イニシアティブを通じた投資環境整備、さらにベトナムが注力するプロジェクトへの協力を通じて、2国間の戦略的なパートナーシップを実りあるものにしたい」と、官民連携の意義を強調した。

訪越中、ミッション一行は、ベトナム政府が最優先国家プロジェクトの1つと位置付けるホアラック・ハイテクパークも訪問し、IT産業育成のために政府が講じている優遇措置などにつき説明を受けるとともに、インフラ整備が進むハイテクパークを視察した(19日)。
また、ター郵電大臣・ハオ工業副大臣との懇談会においては、先方から、「ベトナムの電気通信分野に投資する日本企業に対して最大限の支援を行う」との説明があった(20日)。
さらに、タンロン工業団地(キヤノン・ベトナム等が入居)の視察に当たっては、御手洗会長自ら、安倍総理夫妻ほか政府一行を案内し、タンロン工業団地に入居する日本企業の生産現場などをつぶさに観察した(20日)。

日本経団連としては、今後、同ミッションの成果も踏まえ、両国政府ほか関係者との連携強化を通じて、日越経済関係のさらなる緊密化に向け、鋭意取り組んでいく考えである。

【国際第二本部経済連携担当】
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