日本経団連タイムス No.2841 (2007年1月1日)

温暖化対策環境自主行動計画、2006年度フォローアップ結果を発表

−6年連続で10年度目標クリア/各業種・企業、省エネ対策が大きな効果


日本経団連は12月14日、温暖化対策環境自主行動計画の2006年度フォローアップ結果を取りまとめ発表した。日本経団連では、1997年7月、京都議定書の採択に先立ち策定した「環境自主行動計画」の中で、「2010年度に産業部門とエネルギー転換部門からのCO2排出量を、1990年度レベル以下に抑制するよう努力する」ことを統一目標に掲げ、産業界の温暖化防止への取り組みを強化するとともに、毎年そのフォローアップを実施してきた。9回目となる今回のフォローアップは、計画に参加している産業・エネルギー転換部門35業種からの05年度のCO2排出量実績や取り組み状況等を調査したもので、概要は次のとおり。

1.2010年度の目標水準を6年連続でクリア

産業・エネルギー転換部門(35業種)からのCO2排出量は、基準となる1990年度で5億817万トンである。これは、同年度の日本全体のCO2排出量の約44%、産業・エネルギー転換部門全体の排出量の約83%に相当する。
35業種の05年度のCO2排出量合計は5億507万トンで、90年度比0.6%減少(前年度比では0.3%増加)となり、2000年度から6年連続で目標をクリアした。
なお、一部の原子力発電所の長期停止に伴う電力のCO2排出原単位悪化による影響を除くと、90年度比で2.0%減の4億9780万トンと試算される。

90年度比17業種でCO2排出量減少

2.業種別動向

今回参加した35業種のうち、CO2排出量が減少した業種は、90年度比で17業種、前年度比で16業種であった。
各業種では、(1)CO2排出量の削減(2)エネルギー使用量の削減(3)CO2排出原単位またはエネルギー原単位の向上−のうち、自業種が目標とする指標を選択し、その実現に向けて取り組んでいる。

3.自主行動計画の取り組みの評価

(1)産業・エネルギー転換部門のCO2排出量変化の要因
35業種からの05年度のCO2排出量が、90年度比0.6%減となった要因は、生産活動量が約10%増加したにもかかわらず、活動量当たりの排出量が大幅に改善したためで、各業種・企業による省エネ対策が大きな効果を上げたといえる。

(2)2010年度の目標達成に関する試算
産業・エネルギー転換部門の排出量の約9割を占める主要7業種の見通しをもとに、同部門35業種からの2010年度のCO2排出量を試算したところ、90年度の排出量を2.2%下回る結果となった。引き続き自主行動計画の取り組みを強化することによって、「90年度レベル以下」という全体目標の達成は十分に達成可能といえる。

目標を定めて取り組み強化

4.民生業務・運輸部門における取り組み強化

日本全体のCO2排出量の動きをみると、90年度比で民生業務部門等からの排出量が20〜30%増加しており、自主行動計画においても、これらの部門での取り組み強化に努めている。民生業務部門12団体・企業、運輸部門13団体・企業が参加し、それぞれ目標を定めて温暖化対策に取り組むとともに、産業・エネルギー転換部門の参加業種においても、オフィスの省エネや物流効率化などを通じて民生業務・運輸部門のCO2排出の削減について多様な取り組みを進めている。

5.京都メカニズムを活用した海外での温室効果ガス削減事業

日本の企業が持つ優れた技術を海外でのCO2排出抑制に活用することは、地球規模での温暖化防止に大きく貢献する。
海外での削減量を日本の京都議定書での約束達成に活用できるクリーン開発メカニズム(CDM)や共同実施(JI)は、自主行動計画の目標達成を補完する手段として位置付けられている。今回の調査では、世界各地で新エネルギー事業やメタンガス回収など具体的な事例が多数報告された。

6.今後の方針

05年4月に閣議決定された政府の「京都議定書目標達成計画」において、「自主行動計画は産業・エネルギー転換部門の対策の中心的役割を果たすもの」と位置付けられた。日本経団連としては、今後ともすべての参加業種に対して、個々の目標達成に向けた対策の着実な実施を求めるとともに、「2010年度にCO2排出量を90年度レベル以下に抑制する」という目標について、京都議定書の第1約束期間に当たる5年間の平均として達成すべく取り組んでいくこととしている。

【産業第三本部環境担当】
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