日本経団連タイムス No.2841 (2007年1月1日)

金属労協との首脳懇談会を開催

−人材確保・育成で意見交換/これからの労使関係のあり方も


日本経団連は12月8日、東京・大手町の経団連会館で金属労協(IMF-JC、議長=加藤裕治・自動車総連会長)との首脳懇談会を開催した。日本経団連からは岡村正副会長、加藤丈夫労使関係委員長ら、金属労協からは加藤議長、中村正武副議長、小出幸男副議長、内藤純朗副議長、前田雅昭副議長ら、合わせて16名が出席。(1)ものづくり人材の確保と育成(2)これからの労使関係のあり方――をテーマに意見を交換した。

冒頭の両団体代表あいさつで、金属労協の加藤議長は、2007年春季労使交渉について、「組織労働者のみならず勤労者全体の底上げに向けて、中小共闘やパート共闘などを軸としながら、基幹産業である金属産業が役割を果たしていくとの気持ちで臨みたい」と語った。

一方、日本経団連の岡村副会長は、日本経団連がめざす「希望の国」の実現には、絶えざるイノベーションが必須であり、その原動力は「人材」であるとした上で、「人材の力を活かすためには“ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)”の実現にも、労使がより一層力を入れる必要がある」との考えを示した。さらに、団塊世代の大量退職を踏まえ、(1)ものづくりに携わる人材の確保(2)団塊の世代が持っている技能・技術の伝承(3)次世代の人材の育成――などを重要な課題として挙げた。

また、企業環境の変化や従業員の就労意識の多様化などにより、企業の労使関係において従来とは異なる課題が生じつつあることを指摘するとともに、企業内コミュニケーションの重要性を強調した。

続いて行われた意見交換ではまず、第1テーマである「ものづくり人材の確保と育成」について、金属労協から、「人材育成は企業の社会的責任の1つであり、ものづくりにおける目に見えない技術や勤勉性、ロイヤリティーなども含めた技術・技能の伝承を通した人材育成が重要である」との意見や、ワーク・ライフ・バランスについて、「労使共通の課題であり労使双方が Win-Win の関係を構築できるようなあり方が求められるが、まずは長時間労働の是正が喫緊の課題である」などの意見が出された。

一方、日本経団連からは、「人材の確保と育成に当たっては、インターンシップによるミスマッチ解消や教職員の職業体験の促進など、学校と企業のさらなる連携強化も重要である」「地方においては人材不足が深刻であり、人材の確保と育成に対する経営者の意識改革をさらに促していきたい」などの発言があった。また、技能伝承に当たっては、単なる技能だけではなく、「こころ」の伝承をどう行っていくかも大事であると指摘した。

第2テーマである「これからの労使関係のあり方」については、金属労協から、「日本は企業内労働組合であり、これを基本とする良好な労使関係は今後も維持していくべきである」「生産性3原則のひとつである“労使の協議・協力”は、国際競争がさらに激化する中では、従来にも増して重要な位置付けにある」との意見が出された。

これに対して日本経団連は、企業内コミュニケーションに関して、(1)グループ経営を意識した労使関係の構築(2)非正規従業員も含めた労使関係の構築(3)職場内コミュニケーションの充実――の重要性を強調するとともに、経営側と労働組合側双方が従業員(組合員)への意見聴取を行い、その結果をぶつけ合うことが必要であるとの考えを示した。

【労政第一本部労政担当】
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