日本経団連タイムス No.2844 (2007年1月25日)

産業労働懇話会開く

−雇用形態多様化などで意見交換


厚生労働大臣の私的懇談会である産業労働懇話会(座長=香西泰日本経済研究センター客員研究員)が16日、都内で開催された。同懇話会は政府、労使トップレベルおよび学識経験者からなる会合で、第234回となる今回は、雇用形態の多様化と今後の労働政策の方向について意見交換を行った。

冒頭のあいさつで柳澤伯夫厚生労働大臣は、日本では労使双方の合意に基づく慣行として長期雇用が広く定着してきたことに触れ、企業の国際競争力と経済成長を確保する上で、大きなメリットと合理性のあるシステムであると評価した。一方で、若者や女性、高齢者などフレキシブルな働き方を求める労働者側のニーズと、厳しい競争下に置かれた企業側のニーズにより、従来に比して多様な雇用形態が形成されていると指摘した。
そうした中、当面の労働政策の方向として、(1)若者・女性・高齢者等の労働力率の向上(2)1人ひとりの生産性向上に向けた人材育成への取り組み(3)労働契約ルールの明確化やワーク・ライフ・バランスの実現、ホワイトカラーの能力発揮に資する弾力的な労働時間制度の導入等、「安心・納得して働ける仕組み」の構築――などが必要であると述べた。

続いて行われた意見交換では、日本経団連の御手洗冨士夫会長から、「誰もがチャンスに恵まれ、将来を信じて努力し、失敗した人には再チャレンジの機会が与えられる。公正なルールに基づき挑戦し、結果に対して公平な評価が与えられる社会」をめざす日本経団連ビジョン「希望の国、日本」について紹介があった。
また、労働市場改革については、「労使自治を基本とした取り組みが必要」との認識を示し、「より柔軟で多様な働き方を可能とする制度の導入については、個別企業の労使の話し合いによりその実現が図られるべき」と強調した。

岡村正副会長からは、「ホワイトカラーエグゼンプションの導入により、ホワイトカラーが生き生きと働き、かつ知的創造力を高めることで、企業の生産性向上、わが国の国際競争力の強化に資する」ことや、パートタイム労働法の改正に関連して、「性急な規制強化は、企業の現場に無用の混乱を来す懸念がある。多様な就業形態の促進を阻害しないように規制事項は必要最小限にとどめ、企業の受け入れ態勢が整うように周知期間を十分に確保してほしい」との要望があった。

一方、連合の高木剛会長は、「非正規雇用の固定化は、将来の人口構造に影響を与え、少子化の背景となる」と指摘した上で、「行き過ぎた非正規化に歯止めをかける政策が必要」と主張。古賀伸明連合事務局長からは、多様化の前提として、本人の意思の尊重、ならびに均衡処遇が必要との意見があった。

【労政第一本部雇用管理担当】
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