日本経団連タイムス No.2846 (2007年2月8日)

御手洗会長とASEAN10カ国駐日大使が懇談

−さらなる関係強化へ意見交換


日本経団連の御手洗冨士夫会長は1月29日、東京・大手町の経団連会館で、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の駐日大使と、現在交渉が進められている日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定をはじめ、日ASEAN間の経済問題全般をめぐって意見交換を行った。

ASEANとわが国は、これまで貿易・投資や経済協力等の面で、極めて親密なパートナーとして、良好な関係を築いてきた。少子・高齢化や人口減少という厳しい現実に直面しているわが国が今後とも成長を持続していくためには、ダイナミズム溢れるアジアとの経済連携を推進することがますます重要になっている。
こうした観点から、まず御手洗会長は、日本経団連では昨年10月、提言「経済連携協定の『拡大』と『深化』を求める」をとりまとめ、政府・与党など関係方面に働きかけてきたと説明した上で、AJCEPの現状と課題について指摘。「現状、ASEAN各国との2国間経済連携協定(EPA)については、おおむね形が整いつつある。一方、アジアにおけるEPAのハブとして、AJCEPの締結は極めて重要な課題である。ASEANとの経済関係をさらに強固にするためにも、自由化度の高いAJCEPを早期に締結する必要がある。真に互恵的な関係を構築するためには、わが国としても、農業分野での改革の促進や外国人材の受け入れ拡大など、国内構造改革を断行することが求められている」と述べた。また「日本経団連では、これまでさまざまな機会をとらえて、政府・与党など関係方面に、国内構造改革の推進を働きかけてきた」と語った。

日本経団連の取り組みに関する御手洗会長の説明に続き、次のような意見交換が行われた。
シマサクン・タイ大使は、ASEANと日本はこれまで緊密な協力関係を築き、ASEANの市場拡大や日ASEAN間の貿易増大などに貢献してきたと指摘。ただし、為替レートの問題を懸念材料として挙げ、日ASEAN間で何らかの金融協力が必要ではないかと述べた。これに対し、御手洗会長は、為替レートの問題については、EUの経験が参考になるのではないかと応答。EUの経験も踏まえながら、東アジア経済圏に関する将来像について議論していくことは大変有意義と述べた。
また、タン・シンガポール大使からは、AJCEPは日ASEAN双方にとって極めて重要かつ戦略的な枠組みであり、今年中にまとまることを希望しているとし、AJCEP取りまとめに向け、日本経団連の働きかけに対する期待を表明した。

御手洗会長は、アジアが共に発展する上で、日本にとってAJCEPが最重要であると表明。政府・与党等に対する日本経団連の働きかけを受け、農業サイドも農政改革の姿勢を打ち出す中、日本経団連として、オープンで自由なアジアの経済社会を構築すべく、これからも粘り強く働きかけていくと締めくくった。

【国際第二本部経済連携担当】
Copyright © Nippon Keidanren