日本経団連タイムス No.2848 (2007年2月22日)

国際協力委員会を開催

−最近の対外経済政策踏まえた海外経済協力の取り組み聴取


日本経団連は1月29日、東京・大手町の経団連会館で国際協力委員会(西岡喬委員長、辻亨共同委員長)を開催し、経済産業省の石田徹貿易経済協力局長から、最近の対外経済政策を踏まえた海外経済協力の取り組みについて説明を受けるとともに懇談を行った。石田局長の説明概要は次のとおり。

経済産業省としての海外経済協力の重点は、(1)アジア規模での事業展開を促進する貿易・投資環境の整備(2)わが国の優れた技術・ノウハウの海外市場でのブランド化(3)資源獲得をめぐる国際競争やエネルギー・環境制約への対応――の3点である。
こうした考え方のもと、以下の5点に取り組んでいる。

1.産業・物流インフラ整備

  1. 円借款を効果的に活用したインフラ整備を推進するため、タイド円借款STEP(本邦技術活用条件)の推進や円借款の迅速化について検討する。
  2. ODAと民間資金との連携/官民パートナーシップ(PPP)の強化を推進するため、昨年1月に民間で立ち上げた「アジアPPP推進協議会」の4つの調査部会(「都市交通」「上下水道」「IT・公共サービス」「電力」)を側面支援する。

2.アジア共通の制度インフラ整備

  1. ODAを活用した法制度整備・執行強化への支援を推進する。わが国経済界のニーズを踏まえた重点分野について、EPAや二国間投資促進枠組等を通じ、各省連携の下で技術協力を活用した支援を行う。
  2. わが国の優れた制度・技術のアジア展開(「アジア標準」化)を推進する。わが国の産業発展の基盤を果たした制度や技術をアジアに体系的に展開すべく、技術協力を行う。

3.アジアの成長を支える産業人材の育成

  1. わが国企業の製造現場を活用した産業人材育成のため、AOTS(財団法人海外技術者研修協会)などのツールをさらに重点的・戦略的に活用する。
  2. 経済連携交渉促進のための産業人材育成協力の実施という観点から、タイ、マレーシア、インドネシアにおける自動車分野等の技術者育成や、フィリピンからの看護師・介護福祉士候補者受け入れに際しての専門日本語研修も実施する。

4.資源・エネルギー政策と海外経済協力の連携

  1. 資源確保戦略の強化に向け、官民協調のもと、ODA、NEXI(日本貿易保険)、JBIC(国際協力銀行)などの公的ツールを戦略的に活用する。
  2. 中国・インドといったエネルギー大消費国を中心に、省エネ・新エネ分野の協力を重点的に行う。
  3. アジアを中心とする途上国に対し原子力の平和利用促進への協力を行う。

5.海外経済協力ツールの一層の戦略的活用

  1. 2008年には、G8サミット(主要国首脳会議)やTICAD(アフリカ開発会議)が日本で開催されることもあり、今後5年間で100億ドルODAを積み増すという小泉前首相の国際公約の実現に取り組む。
  2. 貿易・投資の環境整備に重点を置く「ジャパン・ODAモデル」をさらに展開するとともに、タイド円借款(STEP)の制度改善や迅速化に向けた業務フローの見直し等を行うことにより、質の高い「顔の見える援助」を推進する。
【国際第二本部国際協力担当】
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