日本経団連タイムス No.2849 (2007年3月1日)

第17期日本経団連フォーラム21・2月講座を開催

−武士道手本に日本型組織考え、日本最大モバイルポータルめざす気鋭の経営者講演聴取


昨年5月にスタートした第17期日本経団連フォーラム21は2月16日、今期最後となる2月講座を開催、第1講で武士道を手本に日本型組織を考え、第2講では日本最大のモバイルポータルをめざす気鋭の経営者講演で、1年間の講座を締めくくった。このあと、3月13日の修了式と、まとめのレポート執筆で全課程を修了する。

2月講座の最初は笠谷和比古・国際日本文化研究センター教授が、「武士道と現代―日本型組織と個人の自立」をテーマに講演した。
その中で笠谷氏は、固定的な身分社会と思われている江戸時代が実際は、有能な下級武士が積極的に抜擢されるといった能力主義がうまく機能し、人的資源を大事にした時代であったことを、徳川吉宗や上杉鷹山の改革を例に紹介。「藩」という組織が、終身雇用、年功序列、企業内組合など今日の日本型組織の原型としての意義を持つものであることを解説した。
さらに、武士道における忠義・忠節の核心が、「諫言」の精神の堅持であると力説、藩主を家臣が強制的に監禁し、改心を求める「押込(おしこめ)」の慣行があったことなども紹介し、武士道の精神を「上にへつらわず、下を侮らず」に尽きると述べた。

続く第2講座では南場智子ディー・エヌ・エー(DeNA)社長が、「日本最大のモバイルポータルの実現に向けて―DeNAの成長戦略とその展望」と題して、自身の立ち上げた携帯サービス事業の成功事例・失敗事例などについて語った。その中で南場氏は、DeNA成長の原点を「技術力と知恵」とし、どこにもないサービスをどこよりも早く提供するには、自社でシステム開発ができる技術力が必要で、事業成功のカギは「人」にあると強調した。

講演終了後の懇親会ではメンバーが講師を囲み、さまざまな話題で語り合った。

◇ ◇ ◇

日本経団連フォーラム21は1990年にスタート、毎年5月に開講し翌年3月に修了する。今年度17期のメンバー32名を含め、これまでに487名の修了生を送り出した。
参加メンバーは日本経団連会員企業で、トップの推薦を受けた経営幹部。日本経団連会長をチーフアドバイザーに、企業トップ、学識経験者らがアドバイザーを務める。

今年度17期は、茂木賢三郎キッコーマン副会長、寺島実郎三井物産常務執行役員・戦略研究所所長、山内昌之・東京大学大学院教授、竹内弘高・一橋大学大学院教授の4氏がアドバイザーとして、講義やディスカッションを通じメンバーの指導に当たった。
17期の講座内容は、アドバイザー講演のほか7月合宿で「ビジネスモデルと戦略」「変革期のリーダー」(講師=関島康雄日立総合経営研修所社長)について討議し、併せて陸上自衛隊富士学校(板妻駐屯地)を訪問。9月には客船「飛鳥II」で合宿講座(横浜〜神戸)を開催し、船内で山内、寺島両アドバイザーをパネリストに「世界の中の日本」についてディスカッションを行った。
10月は笠原英一アジア太平洋マーケティング研究所所長が「戦略的マーケティング」について指導。11月にはドイツ、チェコ、ハンガリーを訪問し、企業や公共機関などを視察するとともに、ブダペスト商科大学では学生と意見交換も行った。
12月は全修了生に参加を呼び掛け拡大講座を実施、御手洗冨士夫チーフアドバイザー(日本経団連会長)が「私の経営哲学」と題して講演を行ったほか、関志雄・野村資本市場研究所シニアフェローが中国経済の現状と課題について語った。明けて1月には清家篤・慶應義塾大学教授が「生涯現役社会の条件」と題して講演を行った。
3月の修了式では毎期、チーフアドバイザーが全員に修了証書を授与。修了後に参加者はレポートを執筆し冊子に取りまとめる。次年度第18期も5月に開講、御手洗チーフアドバイザーはじめ、17期のアドバイザー4氏が引き続き指導に当たる。

【事業サービス本部研修担当】
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