日本経団連タイムス No.2851 (2007年3月15日)

レヴィチン・ロシア運輸相と懇談

−ロシア輸送部門の最新状況など聴取


日本経団連は2月27日、東京・大手町の経団連会館でロシア連邦のレヴィチン運輸大臣との懇談会を開催した。日本経団連からは安西邦夫日本ロシア経済委員長らが出席した。席上、レヴィチン運輸大臣は、ロシアの輸送部門の最新の状況と民間参加の投資プロジェクトについて説明した。レヴィチン運輸大臣の説明要旨は次のとおり。

ロシアでは過去5年間の改革によって、国家輸送政策の策定に新たなアプローチがもたらされ、「2010年までの輸送発展戦略」「2020年までの輸送戦略」が策定された。また、昨年は「ロシアの輸送サービス輸出発展プログラム」を策定し、まず有料道路の建設プロジェクトに着手している。

ロシア輸送部門の主要プロジェクトは、カリーニングラードから極東までとほぼロシア全土にわたっている。プロジェクトには高速鉄道、空港、港湾の近代化が含まれる。最短輸送ルートは北海ルートであり、そのための最新の砕氷船も製造している。最大の課題は輸送インフラへの民間投資のリスクを最小限にすることであり、そのための法基盤も整備している。

シベリア横断鉄道を利用すれば日本から欧州までの物資輸送日数は12日であるが、現在、日本は海上輸送を利用しており、サンクトペテルブルグまで45日もかけている。日本企業がシベリア横断鉄道ルートの存在をよく知らないためかもしれない。

ロシア輸送部門の主要プロジェクトは2020年までに建設される予定であり、協力の条件としてさまざまなメカニズムを提示している。これらはすべてロシアの輸送システムの競争力確保に向けられている。

プロジェクトの1つがハブ空港の建設である。6、7件のハブ空港建設を予定しており、現在、建設場所を選定中である。ウラジオストークではAPEC首脳会合に向けて大規模な空港建設が予定されている。サンクトペテルブルグの空港については入札が公示されており、旅客輸送能力を現在の300万人から2000万人に増加させる計画である。しかし主要な投資が向けられている先はモスクワのハブ空港であり、旅客輸送能力を現在の2500万人から2015年には5000万人に増やす予定である。

また、現在、新たな貨物輸送ルートとして、シベリア横断鉄道利用によるムルマンスク経由の日米間輸送を提案している。ムルマンスクには大規模な港湾を建設する計画であり、貨物取扱量を現在の2000万トンから6000万トンに増やす予定である。港湾周辺には石油・天然ガスの埋蔵地があるので、将来的にこれを開発し、同港経由で米国に輸送する予定である。日本企業がこのプロジェクトにぜひ参加してくれるよう望んでいる。

ロシアにはムルマンスク、ヴォストーチヌィ・ナホトカという不凍港がある。ヴォストーチヌィ・ナホトカ地域には大規模なロジスティクスセンターができる予定で、経済特区設置に向けた準備が進められている。

高速鉄道のプロジェクトも重要である。モスクワ〜サンクトペテルブルグ間に高速鉄道と有料高速道路を建設する予定である。既に土地の問題は解決し、入札を行っている。日本にもこの有望プロジェクトに参加していただきたい。

ウラジオストークの輸送インフラ整備には、国家予算から約20億ドルが支出されている。空港からルースキー島への新規道路の建設、新空港建設が予定されている。ゾロトイ・ログ湾に架かる橋、ルースキー島への橋の建設も予定している。このプロジェクトにも、ぜひ日本の官民に参加してほしい。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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