日本経団連タイムス No.2858 (2007年5月10日)

日本コロンビア経済合同委員会開催

−コロンビアとの新たな関係強化へ


日本経団連は4月18日、コロンビアの首都ボゴタで第6回日本コロンビア経済合同委員会を開催した。日本側からは約50名、コロンビア側からは約160名が参加した。前回の合同会議は2005年4月に同国のウリベ大統領が訪日した際に東京で開いたが、同国で行うのは1999年7月以来、8年ぶりである。この間、治安情勢にかんがみ、現地での会議開催を見合わせてきた経緯があるが、今回の訪問を通じて情勢の改善を確認することができた。日本の外務省は、渡航・滞在に当たって特に注意が必要と考えられる国・地域に関する「危険情報」を公開しているが、同会議に先立ち4月5日に同省は、コロンビアの治安状況の改善を受けてボゴタの一部とメデジンなどに関する安全対策の目安(危険度の評価レベル)を改めた。

治安情勢の改善には02年8月に発足したウリベ政権の取り組みが大きく貢献しており、国民からも高い評価を得ている。ウリベ大統領の支持率は常に6割を超え、同大統領は昨年5月の大統領選挙でも再選を果たし、現在は2期目にある(任期4年)。治安改善と経済成長には顕著な相関関係があり、06年の実質GDP成長率は6.80%と過去数年を上回った(03年3.86%、04年4.87%、05年4.72%)。民間投資、特に製造業が経済成長を牽引しており、消費者物価上昇率についても06年には4.48%となり低下傾向にある。コロンビア政府は経済成長による社会開発を主眼とし、投資促進のための治安改善、減税などに力を入れている。道路・トンネル・空港・港湾・鉄道などのインフラ整備、バイオ燃料・発電・送電などのエネルギー開発の分野において多数のプロジェクトが計画されており、外国直接投資が期待される。太平洋と大西洋に面した地理的な位置、豊富な天然資源、優秀な人材などが投資誘致のセールスポイントであり、地域を限定せず、一定の投資規模と雇用数を条件に減税や付加価値税免除の特典を与える制度を導入している。

コロンビアの産業・資源としては、コーヒー、カーネーション・バラ、石油、石炭(埋蔵量南米最大)、金、エメラルド(産出量世界1位)などが有名であり、人口は約4200万人、06年の1人当たりGDPは2894ドルである。対外的な経済関係では米国への依存度が約4割であり、現在米国とのFTA(自由貿易協定)が批准手続き中である。コロンビアは経済面で米国に依存するだけでなく、日本を含むアジアとの関係強化にも強い関心を持っており、太平洋に面した国としてAPECへの新規加盟にも強い意欲を持っている(APECは98年から10年間、21カ国・地域でメンバーを凍結)。コロンビア政府は、日本との二重課税防止を含む投資保護協定の締結を要望しており、日本との経済関係では新規事業・プロジェクトの具体化が期待される。両国は08年5月に外交関係樹立100周年を迎える。

【国際第二本部中南米・中東・アフリカ担当】
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