日本経団連タイムス No.2860 (2007年5月24日)

アメリカ委員会企画部会開く

−クレム駐日米経済担当公使から日米EPAへの考え方など聴取


日本経団連は4月25日、東京・大手町の経団連会館でアメリカ委員会企画部会(本田敬吉部会長)を開き、駐日米国大使館のハンス・クレム経済担当公使から「日米経済連携協定(EPA)に対する考え方、米韓自由貿易協定(FTA)等について」の説明を聴いた。

説明の中でクレム公使は、(1)日米両国の経済成長の可能性を最大限に発揮できるような政策を実施することが重要であり、そのために、両国経済の統合に向けた方途を検討することは有意義である。これにはリスクが伴うとの見方もあるが、グローバル化した世界に別々に向き合うリスクの方が大きい (2)日本経団連をはじめ、日米両国のビジネス界がFTA・EPAに向けた共同研究開始を提言したように、両国の経済統合の推進と、両国間の物品・サービスおよび投資の増大に向けて、最も包括的かつ効率的な方策がFTA・EPAであることは間違いない (3)アメリカはアジア諸国とのFTA締結を検討することに全く異存はない。シンガポールは2003年にFTAを締結し、韓国とも交渉を終えたばかりである。議会が韓国とのFTAを承認すれば、それはNAFTA以後、米国にとって最も重要なFTAとなる。米韓FTAは、将来的な日米FTAを含む、今後のアメリカのFTAの基準となろう――と述べ、日米がFTA・EPAを締結することが大きな意義を持つとの考えを示すとともに、その場合のモデルは米韓FTAになると語った。

その上でクレム公使は、米韓FTAにおける鉱工業品、農産品、サービス、投資、知的財産権の保護等の主要なポイントについて説明を行った。

さらにクレム公使は、「現在の良好な2国間経済関係に安住していることに対して警告を発した日本経団連の御手洗会長に全面的に賛同する。貿易摩擦がないということだけで、両国経済のさらなる統合、投資および物品・サービス貿易の自由化に向けた取り組みを止めるべきではない。両国関係を絶えず刷新し、意欲的な目標を設定する必要がある」「FTA・EPAに向けた交渉を米国にとって政治的に実現可能なものとするためには、協定は包括的かつ高水準なものでなければならない。農業はもちろん、金融・医療・司法等のサービス分野も重要な課題となる。したがって、米国が締結した他国とのFTAと同様、日本との交渉開始に当たっては、包括的かつ高水準のFTAの実現に向けて、日本側が政治的に準備ができていることが必要となる。その意味で、交渉中の日豪EPAが日米EPAの実現に当たり重要な試金石となる」「FTA・EPAにより、エネルギー安全保障や環境といった分野における両国の協力も強化されるだろう。FTA・EPA交渉には、両国の抱える課題をパッケージにできるというメリットがある」「日米がFTA・EPAにより経済的なパートナーシップを強化することは、アジア太平洋地域全体の安定と経済成長の基盤強化に資するものとなる」などと述べた。

(クレム公使のスピーチ全文は http://tokyo.usembassy.gov/j/p/tpj-j20070521-50.html に掲載)

【国際第一本部北米・オセアニア担当】
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