日本経団連タイムス No.2862 (2007年6月7日)

自由民主党と政策を語る会開催

−御手洗会長 改革推進にむけた政治・経済の協力の重要性強調


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は5月21日、東京・大手町の経団連会館で自由民主党と政策を語る会を開催した。自民党からは、来賓として中川秀直幹事長、中川昭一政務調査会長、河村建夫政務調査会長代理、中馬弘毅行政改革推進本部長、舛添要一参議院政策審議会長が出席。日本経団連からは、御手洗会長、西室泰三評議員会議長、三木繁光副会長(当時)、宮原賢次副会長(当時)、岡村正副会長(当時)、渡文明副会長、大橋光夫政経行動委員長(当時)ほか約300名が参加した。

開会に当たり、御手洗会長があいさつ。「わが国の景気は回復しつつあるが、世界的な大競争の中で課題が山積している」との認識の下、「日本を希望あふれる国にするためには、政治と経済が車の両輪となって改革を強力に進める必要がある」「政策を軸にした政治と経済の協力関係の強化に向け、今日の意見交換を実り多いものとしたい」と述べた。

自民党側は中川幹事長があいさつ。「安倍総理の『美しい国、日本。』も日本経団連の『希望の国、日本』も世界レベルの成長があってこそ実現される」と経済成長の重要性を強調、「成長国家実現ができるのは与党だけ」と経済界の協力を求めた。

続いて、中川政調会長が政策全般について説明。税制改革につき「経済活力、国際競争力強化に留意しながら、秋以降に早期に本格的かつ具体的な議論を行う。2007年度を目途に消費税も含め税体系の抜本的改革を実現する」と述べた。また、ホワイトカラーエグゼンプションについては「わが国の事務系労働者の働き方に対応する労働時間制度のあり方につき、党内で引き続き検討を行う」と言及。経済連携協定(EPA)については「早期締結のメリットも重要だが、Win−Winの関係構築の観点からバランスを取りつつ質の高いEPAを締結する。日本経団連とも意見交換しながら交渉を推進する」と意欲を示した。

河村政調会長代理は、国会で審議中の教育関連三法や今後の教育改革の方向性につき説明。「日本が経済大国になった礎は人材育成。その礎の緩みは今ここで締め直す」と決意を示した。

中馬行革推進本部長は、公務員制度改革について説明。天下り規制といった問題にとどまらず「公務員を少数精鋭で、誇りと使命感を持って国民の負託に応える存在にする」べく、来年の通常国会を目途に公務員制度の基本法を整備する意向を示した。

舛添参議院政審会長は、憲法・外交・安全保障について説明。安全保障の確保と国際貢献活動の推進に向け、集団的自衛権の問題も含めて検討し、安全保障基本法、国際協力基本法を整備するとの考えを示した。

■憲法・外交などで意見を交換

意見交換では、日本経団連側から、三木副会長が、憲法・外交について、憲法改正に向けた国民的議論の喚起、アジア共同体の形成に向けたイニシアチブの発揮を求めた。また、社会保障関連では、社会保障関係の歳出抑制実現に向けた医療費の見直しを求めるとともに、基礎年金に対する国庫負担割合の引き上げについては着実な実施を求めた。

続いて、宮原副会長が、M&A法制の一層の整備、課徴金と刑事罰との併科の問題や審判手続きのあり方といった独禁法の抜本的な見直し、国際競争力の観点からの法人税制の見直しを求めた。

渡副会長は、温暖化対策に関して、経済に負担となる環境税や政府が上限枠を決める排出権取引制度の導入に反対する一方、国民の意識改革に向けサマータイムの導入を提案した。また、ポスト京都議定書の枠組みを、米国、中国、インドといった主要排出国の参加する体制とするよう強く求めた。

これに対して、自民党側からは、中川幹事長より、憲法・外交、経済法制・税制、ポスト京都議定書の枠組みについて、党として着実に取り組む旨の発言があった。また、サマータイム導入については、導入に向けた前向きの考えを示した。

最後に、閉会に当たって、宮原副会長があいさつに立ち、「政策評価に基づく政治寄付は、政治の活性化を通じてよりよい日本を実現し、企業活動の活性化にも資する」と政治寄付の推進への会員企業のさらなる協力を呼び掛けた。

【社会第二本部政治担当】
Copyright © Nippon Keidanren