日本経団連タイムス No.2868 (2007年7月19日)

能登半島地震被災地支援に関する報告会開催


日本経団連1%クラブは3日、東京・大手町の経団連会館で、3月25日に発生した能登半島地震の被災地支援に関する報告会を、「災害ボランティア活動支援プロジェクト会議」(以下、支援P)の協力を得て開催した。支援Pは、新潟中越地震を契機に、2005年1月に中央共同募金会に設置された、企業・社会福祉協議会・NPO・共同募金会が協働する緩やかなネットワーク。災害対応力の強化に向けて、人材、資源・物資、資金の有効活用を促す仕組みづくりの実現など、災害ボランティア活動の環境整備をめざしている。

1%クラブでは、地震発生直後から現地情報を収集し、支援Pと連携しながら、企業と被災地をつなぐ情報提供を行い、具体的な支援を呼び掛けた。その結果、会員企業からは、被災者に直接分配される義援金のほか、ボランティア活動資金への募金(2028万1013円)、救援物資の提供(1600万円相当)が集まった。報告会当日は、企業からの支援が現地災害ボランティアセンターでどのように活用されたのか、活動の模様を写真で紹介しながら報告を行った。

■災害ボランティアセンターの活動状況

被災地には、輪島市、旧門前町、穴水町の3カ所に災害ボランティアセンターが設置された。3センターで、65日間延べ1万6000名を超えるボランティアが、家の片付けや引越し、ゴミの運搬など、被災者から直接寄せられる依頼に対応した。また被災者のニーズの調査、元気付けのイベント企画など、中長期の復興に向けた環境整備も行った。支援Pでは、災害ボランティアセンターの運営経験者や研修受講者を中心に、全国の社会福祉協議会やNPO関係者を派遣し、地元主体のセンター運営をサポートした。

■心を運ぶ救援物資のコーディネート

1%クラブや支援Pを通じて提供を呼び掛けた物資は、災害ボランティアセンターの運営に必要な備品、被災者への救援物資の2つに大別できる。センター運営用備品には、机やイス、被災者やボランティアへの配付資料作成のためのコピー機や印刷機などの事務機器、散在する活動場所への移動や瓦礫運搬のための車両、活動記録用のデジタルカメラ、連絡調整用の携帯電話などがある。

救援物資については、被災地域の人々が必要とする物資をいったん県外で集約し、各世帯に配付できるように袋詰めして届ける「うるうるパック」を実施した。タオル、石鹸、ウェットティッシュなどが入った「基本パック」は、避難所や被災家庭を訪問する際に配付され、被災者とボランティアとのふれあいの潤滑油として活躍した。また、地域の小中学校には、始業式応援パックとして、文具品一式を手書きのカードと一緒に届けた。子どもたちからは、「勇気や希望をもらった」「いつか恩返しがしたい」というお礼状が寄せられている。その他にも、子ども用福袋、乳幼児をかかえたお母さんを応援する親子パックなど、工夫を凝らして配付された。また、高齢者に対しては、看護師や保健師が被災者の健康状態を見ながら、おかゆパックを温めて届けたり、替えの下着を配付するなど、きめ細やかに対応した。

災害ボランティアセンターでは、救援物資は単なるモノではなく、コミュニケーションのきっかけ、被災者を応援する心を伝える手段として、知恵と工夫を凝らして手間をかけて配付される。ボランティアを通じた救援物資の配付は、公平・平等を原則とする行政による支援では抜け落ちてしまう隙間を埋める、相互補完の仕組みとしても有効である。

◇◇◇

1%クラブとしては、今後も、被災地のニーズに基づく支援に関する情報発信や仕組みの提案とともに、活動の透明性の向上に資する報告にも努めたい。支援をいただいた企業の皆さまに心から感謝申し上げる。

【社会第二本部企業・社会担当】
Copyright © Nippon Keidanren