日本経団連タイムス No.2869 (2007年7月26日)

インドネシア・インド・マレーシア 訪アジア経済ミッションの訪問3カ国駐日大使と懇談

−各国経済情勢や日本との経済関係などで説明聴く


日本経団連は17日、東京・大手町の経団連会館に、訪アジア経済ミッション(8月19日から25日まで、経済界が安倍総理の公式訪問に同行する形でアジアに派遣する訪問団)で訪問するインドネシア、インド、マレーシアの駐日大使を招き、各国経済情勢ならびに日本との経済関係につき懇談を行った。

■投資環境整備が進むインドネシア

席上、ユスフ・アンワル駐日インドネシア大使は、日本は、インドネシアへの最大の投資国であると同時に最大のODA供与国であり、インドネシアも、日本への天然ガス、石油、石炭などエネルギー・天然資源の供給で大きな役割を担っており、相互に極めて重要なパートナーであるとの見方を示し、日尼関係の緊密化を訴えた。
また、インドネシアの経済成長に民間セクターが果たす役割の重要性を指摘し、ミッション訪問時に署名される予定の日尼経済連携協定(EPA)に加え、新投資法の成立、優遇税制の設定、関税法の改正など、今まさに魅力的な投資環境が整いつつあるインドネシアに、古くからの友人である日本からのさらなる直接投資を呼び掛けた。

■インド経済の有望性と可能性

ヘマント・クリシャン・シン駐日インド大使は、インフラ整備、税制改革や労働政策の進捗状況を紹介した上で、9.4%の順調な経済成長率と、その経済を支える国内貯蓄の豊富さ、若年人口の層の厚さに触れ、投資先としてのインドの魅力を訴えた。
加えて、シン大使は、日印両国は、特別経済パートナーシップ・イニシアティブの下、質の高い日印EPAの締結に向けた交渉、訪アジア経済ミッション中に開催されるビジネス・リーダーズ・フォーラム、デリー・ムンバイおよびデリー・コルカタを結ぶ高速貨物鉄道整備計画、総面積4500平方キロメートルに及ぶデリー・ムンバイ間産業大動脈構想などについて既に行動し始めていると指摘し、政府のイニシアティブに加え、インフラ整備をはじめとしたさまざまな分野に日本企業の直接投資を受け入れることで、インドと日本の互恵的で持続的な発展が実現できる、との考えを示し、日本企業のインド進出に強い期待を表明した。
ビジネス・リーダーズ・フォーラムについては、日印EPA交渉への有益な進言を期待しており、両国政府は民間からの意見を最大限尊重する、と述べた。

■マレーシアの経済政策と新たな投資分野

最後に、ズルキフリ駐日マレーシア次席大使から、日馬経済関係の概略、マレーシア政府の政策と新たな投資分野の可能性について説明があった。
ズルキフリ次席大使は、昨年策定されたマレーシア政府の「第9次5カ年計画」および「第3次工業化マスタープラン」に触れ、イノベーションとアイデアによって推進される知識集約型経済におけるより高い付加価値活動を重視し、既存の分野のみならず、バイオテクノロジーなどの新たな成長分野への投資を促進する方針を説明した。
さらに、有望な新規投資分野として、日本と協業関係を築ける三つの重要分野、イスカンダー開発地域、イスラム金融、ハラル食品に言及し、ミッションに参加する日本企業に対して、パートナーとしてのビジネス展開に期待を表明した。

【国際第二本部アジア担当】
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