日本経団連タイムス No.2869 (2007年7月26日)

山谷・首相補佐官招き教育問題委員会開く

−教育再生会議第1・2次報告 提言の実現状況など聴取


日本経団連は6日、都内で教育問題委員会を開き、山谷えり子内閣総理大臣補佐官(教育再生担当)を招いて、教育再生会議第1次報告(1月公表)の提言の実現状況ならびに6月にまとめた第2次報告の提言のポイントなどについて説明を聴くとともに、意見交換を行った。

山谷補佐官は、まず教育再生会議発足の背景について触れ、「教職員組合とのイデオロギー闘争によって、教育がゆがめられてきた。学力調査すら長年実施できず、学習上の困難を抱える地域や学校の把握ができない状況が続いた。安倍総理は、総理就任に当たり、公教育の立て直しを最重要課題として掲げ、改革を具体的に進めるために教育再生会議を発足させた」と説明した。

続いて、1月に公表した第1次報告の提言の実現状況について、「総理のリーダーシップにより、教育再生会議の提言を受けた教育関連3法、すなわち、(1)教育目標の見直しと学校の組織運営体制の確立を目的とする学校教育法の改正(2)教育委員会の法令違反に対応するための国の責任強化、教育委員会の責任体制の確立を目的とする地方教育行政法の改正(3)教員の資質向上を目的とする教員免許更新制の導入――の3法案が先般の国会において成立した」と述べた。また、「反社会的行動をとる子どもに対する毅然たる指導を可能とするために、第1次報告で提言した体罰に関する通知の見直しについても、本年2月に実現した」ことを挙げ、着実に成果が上がっている点を強調した。

山谷補佐官はさらに、第2次報告の4つの提言について、「第1に学力向上をめざし授業時間の10%増を図ると提案した第1次報告のフォローアップとして、夏休みの短縮や朝学習などを進めるとともに、土曜日の活用も含め、学習指導要領を改訂すること、第2に徳育の充実に向けて、職場体験学習の充実に加え、徳育を教科化すること、第3に良い教員の確保を目的に、教員給与特別措置法などを改正し、メリハリのある教員給与体系を実現すること、第4に大学・大学院教育改革の一環として、大学の4月入学原則を弾力化し9月入学の拡大を図るために、学校教育法施行規則を改正すること、を提言した」と説明した。加えて、「こうした改革を実現する上で、効率化を徹底しながら、メリハリを付けて教育再生に真に必要な予算について財源を確保する方針を示し、骨太方針2007にも盛り込まれた」と語った。

最後に山谷補佐官は、産業界への要望として「放課後子どもプランや土曜日の活動、就労体験の場所提供などに協力してほしい。また、企業が求める人材像について教育現場に積極的に伝えてほしい」と述べた。

説明後の懇談では、産業界側から、「優秀な経営マインドを持つ校長には定年後も活躍してもらってはどうか」「教育への協力に前向きに取り組みたいが学校現場に受け入れてもらえず、なかなか進まない」「教育委員会の活性化が不可欠だ」などの意見が示された。これに対し、山谷補佐官は、「民間人校長の活用、校長を支える体制づくりなどが重要である」「学校・教育委員会の意識改革が必要である。企業など外部との連携の良い事例を見て、前向きになってほしい」「学力調査のデータが、教育委員会での実質的な議論の契機になることを期待している」と説明した。

【社会第一本部人材育成担当】
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