日本経団連タイムス No.2872 (2007年8月23日)

「第8回社内広報フォーラムKANSAI2007」開く

−「イノベーションを加速する社内広報へ」を総合テーマに


日本経団連事業サービスの社内広報センターは7月20日、大阪市内で「第8回社内広報フォーラムKANSAI2007」(関西フォーラム)を関西圏の各経営者協会と共催で開催した。同フォーラムには関西圏の社内広報担当者のほか、中国、九州、北陸、東海、関東からも参加があり、関係者を含めると約170名が参加した。

同フォーラムのテーマは「イノベーションを加速する社内広報へ」。これを機軸に分科会を構築した(なお、同テーマは今年度の年間テーマであり、11月21、22日開催予定の「第46回全国社内広報大会」も、このテーマを掲げている)。

フォーラムでは、中井正郎・関西経営者協会理事・事務局次長の開会あいさつの後、フォーラムの実行委員会リーダーである松枝健夫氏(松下電器産業コーポレートコミュニケーション本部広報グループ社内広報総括部長)が大会基調報告を行った。実行委員会では今年度のテーマについて協議を重ね、イノベーションがキーワードであり、社内広報担当者に今、求められているのは「企業のイノベーションを社内広報が加速する役割を担っていくこと」との結論に至った。

そこで松枝氏は、基調報告の中でイノベーションとは何かを説明、グローバル化が進む中、競争力を確保するカギはイノベーションが握っていることを強調した。さらにイノベーションを加速する社内広報を実現するためには、社内広報担当者は課題が何かを把握し、社内報の企画・編集をしなければならず、担当者には「課題を発見する力」が強く求められていることを訴えた。特に自社のマーケティングや商品開発、製造、販売・サービス面でイノベーションを加速していくためには、「自社が置かれた競争関係や課題、進むべき方向、経営者の想いをくみ取り、担当者自身が次々とテーマを発見して社内に問い掛けなければならない」と、変革へのトリガーになることの必要性を説いた。そしてその実現のために「情報収集力、企画力、表現力など広報職能のプロとしてのコミュニケーション能力を培い、課題意識を持って、社内広報のあり方を常に変革していく必要がある」と、社内広報担当者としての自覚を促した。そして「社内広報は経営情報をわかりやすく、会社として社員に伝え、理解、認識させるだけでなく、社員に問い掛け、共感を求めることも必要で、時には顧客や社会の視点に立って課題を掘り下げていかなければならず、社内ジャーナリズムとしての役割を担う存在である」ことを強調し、社内広報担当者自身にもイノベーションを起こさなければならないと締めくくった。

7分科会で研究、討議

フォーラムでは、「イノベーションを加速する社内広報へ」という総合テーマを確認しつつ、社内広報担当者のスキルアップを図るために研究、討議を行った。設定された分科会は、「基礎」「取材力」「文章力・表現力」「超企画力」「ワンランク上の編集者」「社内広報戦略」「進化するメディアと社内広報の新たな可能性」の7コース。

例えば、「取材力」分科会では、『日経ビジネスアソシエ』編集長の渋谷和宏氏のレクチャーを通し、取材のコツやポイントを学ぶとともに、ロールプレイングも取り入れ全員で意見交換を行った。インタビュー、座談会、対談、ルポなどさまざまな取材をうまく生かすにはどうしたらよいのか、改善点なども話し合われた。

一方、「進化するメディアと社内広報の新たな可能性」分科会は聴講型方式の分科会で、最近の企業のコミュニケーション事情についての講演のほか、紙メディアだけでなく電子メディアやツールを利用した、社内広報活動を行っている数社の事例発表を柱に進められた。

これらの分科会について寄せられたアンケートをみると、「広報パーソンとしてやるべきこと、あるべき姿を学ぶことができた」「同じ担当者の生の声を聞くことができ参考になった」「他社で行われている社内広報活動のさまざまな工夫を知ることができた」などの感想が寄せられ、参加者の評価がたいへん高かった。

【日本経団連事業サービス社内広報センター】
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