日本経団連タイムス No.2873 (2007年8月30日)

安倍首相のアジア歴訪に合わせてハイレベル経済ミッションを派遣

−インドネシア、インド、マレーシア


日本経団連ならびに日本商工会議所(山口信夫会頭)は、アジア諸国との間で戦略的な関係を構築することの重要性にかんがみ、安倍晋三総理大臣のアジア歴訪に合わせ、19日から25日にかけてミッション(団長=御手洗冨士夫日本経団連会長)を派遣した。同ミッションには、多様な業種からなる延べ約250名が参加し、インドネシア、インド、マレーシアを訪れた。これは、昨年11月のベトナム、今年4月から5月の中東に引き続き、わが国経済界が総理の外交日程に合わせて派遣したミッションであり、各国政府はじめ関係者から極めて高い評価を得た。

経済連携拡大と深化へ/政府首脳らと意見交換

◆戦略的な経済関係の構築に向けた各国との対話

同ミッションは訪問先各国において非常に温かい歓迎を受け、改めて日本企業に対する現地の期待の大きさが感じられた。各国首脳、政府高官ならびに経済界との意見交換では、経済関係の一層の緊密化に対する日本の経済界の熱意を先方に伝えることができた。

東南アジア諸国連合(ASEAN)の主要国であるインドネシア、マレーシアには既に多くの日本企業が進出しており、地元経済の一翼を担っているが、今回の訪問はこうした結び付きをさらに深める一大契機となった。また、インドについては、経済連携協定(EPA)交渉が始まったものの、日印両国の経済規模にかんがみれば、経済関係はポテンシャルを十分引き出すには至っておらず、今回の訪問を機に、新たなビジネス関係の構築や一層の緊密化が期待される。

インドネシアでは、ユドヨノ大統領、安倍総理とミッション代表者との会談の後、大統領宮殿におけるEPA署名式にミッション団員全員が立ち会う機会を得、両国の経済関係が新たな段階に入ったことを改めて認識した。

インドでは、両国の経済界首脳おのおの10数名からなる「日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム」(日本側議長=御手洗会長、インド側議長=ムケシュ・アンバニ・リライアンス・インダストリー会長)において日印経済関係の緊密化の方策につき忌憚のない議論を行った。その結果を共同提言として取りまとめ両国首脳に提出し、世界で最も可能性を秘めた二国間経済関係の強化に向けた経済界からの新たな発信として高い注目を集めた。一方、インド政府からは、今年1月に交渉を開始した日印EPAを今後2回でまとめたいという積極的なメッセージが発信された。

マレーシアでは、日・マレーシアEPA発効後1年を経て両国間の貿易・投資が飛躍的に拡大している現状を踏まえ、両国首脳とミッション代表者との会合などにおいて、一層の経済交流の拡大について議論を行った。

また、各国において、インフラ整備や人材育成にかかるキャパシティ・ビルディング、環境協力などの可能性について、対話を深めることができた。

◆アジアとの経済連携の一層の拡大と深化を

日本経団連では、アジアのダイナミズムを取り込みつつ、アジアと共に豊かさを追求する観点から、アジア諸国とのEPAの「拡大」と「深化」を求めている。今回のミッションでは、アジア諸国とのEPAが着実に進展していることを確認することができた。EPAは、グローバルな事業体制の構築を促進する上で強固な経済インフラを提供するものである。それを実際に活用して貿易・投資の拡大、ひいては経済の活性化を実現していくのは企業である。

ASEAN各国との二国間の線的なEPAが形を整えつつある中、日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)をはじめ、東アジア(ASEAN+6)に重点を置いた面的なEPAを迅速に締結していく必要がある。今回のミッションと時を同じくして、AJCEPが大筋合意に至ったが、日本経団連としては、将来の東アジア共同体の構築を視野に入れて、引き続きEPAの「拡大」と「深化」に取り組むこととしている。

【国際第二本部経済連携担当】
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