日本経団連タイムス No.2875 (2007年9月13日)

第7回全労委使用者委員研修会開く

−最近の裁判例などを聴取


全国労働委員会使用者委員連絡会議(代表幹事=杉山幸一・中央労働委員会使用者委員)が主催する研修会が、6、7日の2日間にわたり、東京・大手町の経団連会館で開かれ、台風という悪天候にもかかわらず、全国から53名の使用者委員が参加した。

同連絡会議は、労働委員会の運営に関するさまざまな課題への使用者委員全体としての対応を協議することなどを目的として、2000年に発足した全国の使用者委員を会員とする組織であり、日本経団連が事務局として活動を支援している。その大きな活動の柱として、使用者委員同士の相互研鑽や専門能力の向上を目的とする研修会を実施しており、今回が7回目の開催となる。

研修会1日目は、杉山代表幹事のあいさつに続き、中央労働委員会会長の菅野和夫氏が、「公益委員から使用者委員へ望むこと」と題して、労働委員会の変遷や使用者委員に期待する役割について、公益委員としての豊富な経験を踏まえて講演。

続いて、中央労働委員会事務局第三部会担当審査統括官の神田義宝氏から、「不当労働行為審査手続の概要」と題し、審査手続の基本的仕組み、審査体制の概要、申立てから調査、審問、証拠、救済命令、和解などの各段階について、詳しい説明があった。1日目の最後は、弁護士の丸尾拓養氏から、「改正労組法・労働委員会規則の解説」と題して、不当労働行為の類型や審査手続、労働委員会における物件提出命令、修正大量観察方式などについて最近の事例を交えながら、2005年に改正された労働組合法および労働委員会規則の解説があった。

2日目は、最初に早稲田大学大学院教授の島田陽一氏が、「最近の裁判例・労働委員会命令例の動向」と題して、最高裁判例とその他判例に分けて、労働時間、解雇、労災、不当労働行為、成果主義賃金などのテーマに関する直近1年間の代表的な裁判例について解説した。研修会の締めくくりとして、中央労働委員会使用者委員の是松恭治氏から、「使用者委員に求められる役割」と題して、自らのさまざまな経験を踏まえながら、使用者委員としての心構えや、手続きの各場面における任務と求められる役割について人生訓を交えた講演があり、盛況のうちに研修会は幕を閉じた。

参加した受講者のアンケートでは、約9割が「満足した/ほぼ満足した」と回答し、「有意義な研修テーマが多く、とても満足した」という声が数多く寄せられたほか、「経験豊富な委員による体験談をもっと聴きたい」といった建設的な意見もみられた。

【労政第二本部労働法制担当】
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