日本経団連タイムス No.2876 (2007年9月20日)

道州制推進委員会が初会合

−政府・自民党での検討状況を聴取


日本経団連は11日、東京・大手町の経団連会館で、今年5月に設置した道州制推進委員会(中村邦夫委員長、池田弘一共同委員長)の第1回会合を開催した。会合では、自由民主党道州制調査会の杉浦正健会長を招いて、道州制に関する政府・自民党での検討状況について説明を聴取するとともに、意見交換を行った。

会合で杉浦議員は、江戸時代の日本は分権型の体制だったが、明治時代には近代化を進めるため、廃藩置県により中央集権化を進めたと言及、中央集権体制は、近代化や戦後の経済復興を遂げる過程では大いに機能したが、戦後60年が経過した現在、ほころびが生じていると指摘した。さらに、自民党ではこうした認識の下で小さな政府をめざしており、「民間にできることは民間に」「地方にできることは地方に」を掲げて各種改革を進めていると説明した。

続いて杉浦議員は、これまでの政府・与党での道州制に関する検討の経緯を説明。自民党国家戦略本部による報告書の中での道州制についての言及などを経て、小泉政権下では「自民党政権公約2003」で「道州制導入の検討と北海道における道州制特区の先行展開」という文言が初めて盛り込まれ、道州制特区推進法の検討が始まったと紹介した。さらに、その後の安倍政権では道州制担当大臣が置かれたり道州制ビジョン懇談会が設置されるなど、議論がさらに一歩進んだと説明した。併せて、自民党内では04年に伊吹文明・衆議院議員を会長とする道州制調査会が発足して、当初は道州制特区推進法の制定に注力したが、安倍政権の発足に合わせ、杉浦議員が会長に就任して、道州制そのものについての検討を本格的に開始したと説明。年明けには同調査会の下に五つの小委員会を設置して、延べ46回の会合を開催したと紹介した。同調査会の会合は、マスコミや省庁をはじめ、すべて公開して議員間で活発に議論を行い、それを集約するかたちで、6月14日に「道州制に関する第2次中間報告」を発表したが、今後は同中間報告で「残された検討課題・さらに検討を深める課題」として記した11項目について、精力的に検討を進めたいと語った。

続いて行われた意見交換では、委員から「企業や経済の国際競争力を保つためには力のある地方が必要」「行政改革は突き詰めれば道州制に行き着く」などの意見が出された。これに対して杉浦議員は、ドイツの世界的な大企業が本社を地方に置いていたが同社は全く不便を感じていなかったという事例を紹介した上で、日本でもそうあるべきだと答えた。また、道州制の下では、内政は原則として道州に任せるべきとの見解を示した。

◇◇◇

日本経団連は、今年1月に発表した新ビジョン「希望の国、日本」で15年を目途に道州制を導入するよう求めており、今年3月には「道州制の導入に向けた第1次提言」 <PDF> を発表している。道州制推進委員会では、今後、08年秋に発表予定の第2次提言に向け、道州制導入に向けた具体的な課題について検討を進めていく予定である。

【産業第一本部行革担当】
Copyright © Nippon Keidanren