日本経団連タイムス No.2878 (2007年10月4日)

「新内閣に望む」建議

−成長戦略堅持、雇用拡大など


9月26日の新内閣発足を受けて、日本経団連の御手洗冨士夫会長は10月1日、福田康夫内閣総理大臣を首相官邸に訪ね、「新内閣に望む」と題する建議を行った。同建議の内容は次のとおり。

新内閣に望む

景気は回復基調にあるが、その速度はやや減速している。海外を見ても、原材料価格の高騰、国際金融市場の混乱など、懸念材料が少なくない。

こうした情勢の下、わが国は、国際競争の激化や人口減少下での少子高齢化など構造的な難問に直面している。

今、改革の手綱を緩めれば、経済は停滞し、国民生活を支えるセーフティネットの存立基盤は揺らぎ、地域経済の活性化も不可能となる。

新内閣におかれては、改革の必要性に関し国民の理解を深めるとともに、野党との国民本位・国益本位の建設的な対話を緊密にし、以下の課題に全力を挙げて取り組んでいただきたい。

  1. イノベーションと生産性向上を原動力とし、世界各国とのEPAの締結を梃子とする成長戦略を堅持し、企業による安定した雇用拡大を実現する。
  2. 年金記録問題の早期解決を図る。社会保障制度と歳出入の改革を一体的に推進し、国民の安心を確保し、負担の先送りを断つ。
  3. 政府一体となって地域の再生努力を支援する。道州制による広域経済圏形成を目標とし、分権改革を断行する。また、農業の競争力強化策を拡充する。
  4. 公教育を再生・充実させるとともに、高度人材の育成に向け、大学・大学院改革、産学連携を進める。
  5. 出産・育児に安心して取り組めるよう、民間の協力も得て、子育て支援策を強化する。
  6. ポスト京都議定書の枠組みづくり、温暖化対策や循環型社会の構築に向けた環境政策を推進する。同時に、エネルギー・資源安全保障の強化に取り組む。
  7. 日米の同盟関係を堅持する。アジアを重視するとともに、欧州、中東、大洋州などとも緊密な外交通商政策を展開する。
  8. 政治資金について透明度をあげ、説明責任を徹底することを通じ、政治に対する国民の信頼を回復する。
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