日本経団連タイムス No.2882 (2007年11月1日)

クビシュ・スロヴァキア外相が来訪

−スロヴァキアの現状と展望など、米倉副会長と意見交換


10月12日、スロヴァキア共和国のヤーン・クビシュ外務大臣が東京・大手町の日本経団連を訪れ、米倉弘昌副会長・ヨーロッパ地域委員長と懇談した。クビシュ大臣の主な発言は次のとおり。

■スロヴァキアの現状と展望

スロヴァキア政府として、投資環境の改善、競争力の強化に努める一方、国民生活の向上をめざし社会福祉政策にも力を入れている。

わが国の今後の発展にとって戦略的に重要な要素が四つある。第一は、2008年1月1日にシェンゲン協定に加わることである。これにより国境を越えた人の移動が容易になる。第二に、ウィーンと首都ブラチスラヴァ間の二つの高速道路が連結されることである。11月中旬に全面開通の予定である。第三に、国内の東西を結ぶ高速道路を完成させることである。これにより東から西への労働力の移動が活性化する。第四に、09年を目標とするユーロの導入である。インフレ率と財政赤字についていまだ基準をクリアしていないが、いずれも持続可能な形で達成できる見込みである。

■スロヴァキアへの投資・観光誘致

積極的な誘致活動の結果、日本企業はじめ多くの外国企業がわが国に進出を続けている。スロヴァキアは、EU各国のみならず、ウクライナやロシア等へのアクセスにも優れている。現在と同水準の経済成長を続けるためにも、外国企業にとって魅力ある投資環境を維持することが重要である。また、観光産業の振興にも力を入れていきたい。自らのアイデンティティーの再構築と同時に共通の歴史や文化を背景にした近隣諸国との地域的なつながりも重視しており、その間の協力も検討していきたい。来年以降、観光局の支部を東京に開設したいと考えている。

■日・EU関係

スロヴァキアとしては、EUの一員として、日EU関係の一層の発展にも貢献したいと考えている。スロヴァキアは基本的に開かれた経済であり、EU諸国に対してのみならず、他の国々に対してもそうである。従って、日本経団連が提言している日EU経済連携協定については、複雑でチャレンジングな問題ではあるが、好意的に受け止めている。一方、WTOドーハ・ラウンド交渉も重要であり、その行方はEUを含め各国・地域に影響がある。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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