日本経団連タイムス No.2885 (2007年12月3日)

第34回北陸地方経済懇談会を開催

−「創造的改革の推進による民間と地域の活力の発揮に向けて」テーマに意見交換


日本経団連、北陸経済連合会(北経連、新木富士雄会長)は11月21日、富山市内のホテルで「第34回北陸地方経済懇談会」を開催した。懇談会には、御手洗冨士夫会長はじめ勝俣恒久副会長、渡文明副会長、森田富治郎副会長、榊原定征副会長、古川一夫副会長、佃和夫副会長、氏家純一副会長、池田弘一評議員会副議長ら日本経団連首脳、北経連会員など約120名が参加。「創造的改革の推進による民間と地域の活力の発揮に向けて」を基本テーマに意見を交換した。

開会あいさつで、北経連の新木会長は、北陸地域の景気には厳しい見方が広がっており、企業業績のばらつきも拡大しているとし、「企業にはそれぞれの存在意義の原点に立って、自らの進路を切り拓いていく覚悟と行動が求められる」と述べた。

続いてあいさつした日本経団連の御手洗会長は、「2007年政策評価」に言及。日本経団連は、政治寄付を企業の重要な社会貢献と位置付け、自発的な寄付促進のため、政党の政策評価を実施していると述べた。また、「今ほど政策本位の政治が求められている時はない」と指摘し、北陸経済界への協力を求めた。

■活動報告

第1部の活動報告では、日本経団連から森田副会長が独占禁止法改正の動きと取り組み、古川副会長が情報通信産業における国際競争力の強化の取り組み、渡副会長がポスト京都議定書における地球温暖化防止のための国際枠組み構築の取り組みについてそれぞれ報告した。独禁法改正では、審査・審判制度見直し等を与野党に働き掛けを行っていること、情報通信では、世界最先端の電子行政実現を求める提言を取りまとめ、国際連携のため国際会議に積極的に参加していること、ポスト京都議定書では、主要排出国の参加、革新的技術の活用、途上国支援を求める提言を取りまとめたことなどを説明した。

一方、北経連からは、江守幹男副会長が「人流・物流の結節点“北陸”の構築に向けて」を報告。北陸新幹線の北陸三県同時開業を含む高速交通網、港湾、空港の一体的な整備促進の必要を強調した。また、創立40周年記念事業として10月に招致した「北東アジア経済フォーラム(本部=ハワイ・イースト・ウエスト・センター)第16回国際会議」が、今後、北東アジア経済圏形成と人的ネットワーク構築に貢献することに期待を表明した。

次に永山憲三副会長が「活力あふれる地域づくりの推進」に関する取り組みを報告。(1)会員間の新産業・新技術に関する情報交換会の開催(2)北陸三県との連携による企業誘致活動(3)北陸への居住促進キャンペーン――について説明した。

続いて、犬島伸一郎副会長が、「地方分権型社会システムの構築に向けて」を報告。地域の主体性や創意工夫の発揮できる社会実現のために行政改革が必要であると指摘。北陸三県の連携・協働を進めれば、行政の重複、無駄を省き、より強い地域基盤を構築できると述べた。

■自由討議

第2部の自由討議では、北経連側から、(1)持続的な成長のためには、戦略的な社会資本整備が必要(齊藤博常任理事)(2)地域の実情を踏まえ、国による地域の自立に向けた取り組みと格差是正への適切な支援が必要。道州制の認識にばらつきがある上、国の統治機構の課題は身近な関心事ではないので、国民的議論の醸成が大切。国家的戦略を確立し、具体的事例での説明が必要(北村耕一郎常任理事)(3)次代を担う産業人材の育成は喫緊の課題。人材育成について教育界と産業界で視点が必ずしも一致しておらず、産学間の対話と行動が必要(水口昭一郎常任理事)(4)北陸新幹線の早期開通等、交通インフラの整備は、魅力ある地域づくりの前提。北陸の魅力を売り込むため観光人材の育成が必要(桑名博勝常任理事)(5)国、企業、地域社会が連携し、働き方の改革、子育て支援の取り組みを推進していくことが重要(平原敏行常任理事)(6)経済の持続的発展のためには、税財政の一体的かつ抜本的改革が必要。特に、税では、事業承継税制の拡充、税の地域間の偏在や不均衡の是正について、地方再生の視点での検討が必要(松浦正則常任理事)――などの発言があった。

これに対して日本経団連側は、(1)日本が貿易立国として成長を続けるため、アジアの活力を取り込むことが不可欠。選択と集中による、真に必要な社会資本の整備が必要(渡副会長)(2)道州制の導入により地域の活力を引き出すことが可能。各地でのシンポジウムで、国民的理解の深化を期待(池田評議員会副議長)(3)イノベーションの担い手たる高度理工系人材の育成が急務。産学で緊密な対話を行い、具体的な行動に結び付けていくことが大切(榊原副会長)(4)北陸三県が広域連携を進め、魅力的な地域となり、外国人旅行者が増加することを期待(佃副会長)(5)子育て支援の推進は将来への投資であり、企業は、仕事と子育ての両立支援が必要(森田副会長)(6)地方税制改革は、自治体の自主性が十分に発揮され、地域活性化に資する仕組みとすることが重要(氏家副会長)――と応じた。

◇◇◇

懇談会に先立ち、日本経団連首脳は、総合的ICT(情報通信技術)産業を傘下に置くインテックホールディングス(富山市)を訪問し、同社の事業所内託児所であるインテックキッズホームなどを見学した。

【総務本部総務担当】
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