日本経団連は12月11日、2008年の優先政策事項を公表した。優先政策事項とは、日本経団連の政策提言の中から、実現が特に急がれる重要政策を整理したもので、政策の大きな方向性を示した、「基本的な考え方」と、税・財政改革、社会保障制度改革・少子化対策など、10項目の「当面の優先政策」からなる。また、それぞれの項目について、現時点での日本経団連の考え方を「解説」として併せて公表した。日本経団連では、この優先政策事項に照らして、毎年秋に、政党の政策評価を発表するとともに、政策評価を参考にした自発的な政治寄付を会員企業に呼び掛けている。
優先政策事項は、毎年改定しているが、今回は、昨今の政治情勢などを踏まえて「基本的な考え方」を書き換えた。具体的には、欧米やアジア諸国が高い経済成長を示す中で、わが国の存在感が相対的に薄れつつあること、さらに、「ねじれ国会」の中で政策の審議と遂行が遅れるならば、わが国にとり深刻な事態となりかねない点を指摘し、強い危機感を示している。その上で、政党に対し、今こそ政策面で切磋琢磨するとともに建設的に協議し、スピーディに改革を断行するよう強く求めている。改訂版の優先政策事項の全文は次のとおり。
グローバル競争の激化や人口減少社会の到来など、わが国は課題山積の状況にある。これを乗り越えて、経団連が2007年1月に提唱した「希望の国」を築くためには、政治の強いリーダーシップによって、経済の成長力を最大限に引き出す戦略を実施するとともに、簡素で効率的な政府を実現する必要がある。また、個人の生活を、精神面を含めてより豊かなものとするとともに、多様な機会が開かれ公正な競争に支えられた社会を実現する必要がある。そして、国際社会から信頼され親しみを持たれる国にしなければならない。
欧米主要国においては、改革の成果によって、過去10年以上、わが国以上の高い経済成長が維持されている。また、アジア諸国の成長・発展も著しく、わが国の存在感は相対的に薄れつつあるといっても過言ではない。
現在、わが国は、衆参両院で第一党が異なる状況にあるが、こうした中で政策の審議と遂行の遅れが続けば、わが国にとって深刻な事態がもたらされる恐れがある。今こそ、政党は政策面で切磋琢磨し、建設的な協議を積極的に進め、スピーディに改革を断行すべきである。
当面、以下の10項目の政策の推進が極めて重要である。
上記優先政策事項は、2008年の政党の政策評価の尺度となる。