日本経団連タイムス No.2888 (2008年1月10日)

新年祝賀パーティー開催

−日本経団連など経済3団体


日本経団連(御手洗冨士夫会長)、日本・東京商工会議所(岡村正会頭)、経済同友会(桜井正光代表幹事)の経済3団体は7日、都内のホテルで「2008年新年祝賀パーティー」を開催した。各団体の会員企業代表者や、福田康夫内閣総理大臣をはじめ政官界の要人など約1500名が出席、賀詞を交換した。

冒頭のあいさつで日本・東京商工会議所の岡村会頭は、わが国経済を成長軌道に乗せるためには、税財政改革や社会保障制度改革などの構造改革の実行と、内需主導による経済成長が不可欠であると指摘、経済界としても全面的に支援していくと語った。また中長期的には、国際競争力を強化するためには、イノベーションの推進が必要であると述べ、官民が一体となった取り組みの重要性を強調した。

続いてあいさつした福田首相は、既存の概念を打ち破り、新たな時代を切り拓くという、経済界の改革断行への気概に応えるべく、経済成長戦略を見据えた改革を実行したいとの意気込みを示すとともに、経済界に一層の協力を求めた。

3団体長が共同記者会見/御手洗会長、景気見通しなどで見解

祝賀パーティーの後、日本経団連の御手洗会長、日本・東京商工会議所の岡村会頭、経済同友会の桜井代表幹事の3団体長が共同記者会見を行い、景気見通し、春季労使交渉、地球環境問題などでそれぞれ見解を述べた。会見での御手洗会長の発言概要は次のとおり。

■ 08年の景気見通しについて

雇用情勢は堅調で、個人消費は緩やかに拡大していくだろう。企業業績は良く、設備投資も拡大するだろう。住宅は、建築基準法改正に伴う混乱が収まれば、確実に回復する。世界経済は好調であり、夏以降、輸出の伸びも期待できる。こうしたことから、2%の実質成長は達成できる。さらに言えば、名目成長率が実質成長率を上回ることを望んでいる。

また、企業業績が好調で、利益水準は非常に高いにもかかわらず、日本株は経済の実力以上に売られている。今年は2万円をうかがうところまで回復することを希望する。

■ 春季労使交渉について

グローバル競争、総額人件費管理、経済の安定成長という三つの観点から考える必要がある。生産性が上昇していて支払能力がある企業は、従業員への配分を厚くすることもあろう。他方、激しいグローバル競争の中、原料高を価格転嫁できない企業や、生産性が上がらず支払能力に乏しい中小企業については厳しい状況だ。いずれにせよ、横並びのベースアップはもはやあり得ず、個別企業によってまちまちの結果になるだろう。

■ 地球環境問題について

地球温暖化問題への取り組みに当たって、最も重要なのは革新的な技術の開発・普及である。CO2削減目標については、特定の年度を基準に国ごとに目標を設定するのではなく、エネルギー効率を基本とし、セクトラル・アプローチを活用して、各国が自主的・自立的に取り組むことが最も効果的である。その上で、国際協調がなされれば良い。来るべき洞爺湖サミットにおいて、世界に冠たる環境先進国である日本は、ポスト京都議定書の国際的枠組みの構築に向け、強力なリーダーシップを発揮しなければならない。革新的な技術開発を進める協力体制が構築されることを望む。

■ 政治情勢について

与野党には、国民生活・国益の観点から政策協議を重ね、粛々と改革を進めていただきたい。予算や税制の審議、7月のサミットを控えており、政治空白は許されない。先進国中最も劣悪な財政状況にある日本は、何よりも経済成長の中で財政健全化を実現していかなければならない。これは与野党を問わず、政治が取り組むべき最重要課題である。

■ 消費税率引き上げについて

2011年のプライマリーバランス黒字化を必ず実現し、さらに、10年代半ばにかけて、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく必要がある。このため、歳出面において、「基本方針2006」「同2007」にのっとって、最大限の歳出削減を行っていかなければならない。それを前提に、歳入面での手当ても行う必要がある。増加を続ける社会保障費を賄う安定的な財源の確保が最重要課題である。公的年金の国庫負担率の引き上げが行われる09年は間近であり、待ったなしの状況だ。早急に抜本的な税制改正の討議を進め、消費税率の引き上げについて、国民全体のコンセンサスを形成する必要がある。

【総務本部渉外担当、広報担当】
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