日本経団連タイムス No.2889 (2008年1月17日)

ノーマン・ミネタ前米国運輸長官との懇談会開催

−大統領選の見通しなど、米国の政治・経済情勢を聴取


日本経団連のアメリカ委員会(長谷川閑史委員長、村瀬治男共同委員長)は12月20日、東京・大手町の経団連会館で、ノーマン・ミネタ前米国運輸長官との懇談会を開催した。ミネタ前長官は、長年にわたり米国下院議員を務めたほか、クリントン政権とブッシュ政権において閣僚を務め、米国議会の動向や政治情勢に精通していることから、当日は、米国大統領選挙の見通しをはじめ、最近の米国の政治・経済情勢全般について説明を聴いた。

また、同氏は、ダニエル・イノウエ上院議員とともに、日系アメリカ人の指導者としても活躍していることから、わが国経済界と日系アメリカ人コミュニティーとの連携強化についても併せて意見交換した。

日本経団連からは、長谷川委員長、村瀬共同委員長、本田敬吉アメリカ委員会企画部会長ほか24名が出席した。

冒頭、ミネタ前長官は、自身の生い立ちや2007年7月に旭日大綬章を受章したことなどに触れながら、日系アメリカ人であることを大変誇りに感じていると述べ、また、全米日系人博物館に対する、日本経団連のこれまでの支援に感謝の意を表した。また、前回来日したのは、06年8月、橋本龍太郎元総理の葬儀に、ブッシュ大統領の代理として出席した時で、橋本元総理は、大きなビジョンを持ったリーダーで、平和、繁栄、自由に基づいた日米のパートナーシップ構築に大きく貢献したと述べた。

さらに、日米両国は、何千里も隔たり、言語や文化なども異なるが、食品からコンピューターに至るまで両国間の貿易は盛んで、活発な通商関係を通じて、相互理解を深めていること、また、ブッシュ大統領も、日本との強い絆を信じ、小泉純一郎元総理、安倍晋三前総理、福田康夫総理に対し、日米同盟の重要性を繰り返し伝えているとの説明があった。

続いて、07年11月の日米首脳会談に言及し、福田総理とブッシュ大統領は、北朝鮮問題、イラク問題、自衛隊のインド洋での給油活動問題など国際安全保障問題のほか、気候変動やエネルギー安全保障問題、両国の経済関係についても議論し、その後の昼食会では、ブッシュ大統領は、米国産牛肉輸入問題を取り上げたとの説明があった。その上で、ミネタ前長官自身も、米国産牛肉と牛肉製品に対して、日本市場が全面的に開放されることを望んでいると述べた。

米国大統領選挙の見通しに関しては、共和党の主な候補者は、ロムニー元マサチューセッツ州知事、マケイン上院議員、ハッカビー元アーカンソー州知事、ジュリアーニ元ニューヨーク市長の4名が有力と言われているが、選挙戦は混戦模様で、流動的であると説明した。一方、民主党の各候補者も活発に選挙活動しているため、有力候補は流動的であると述べた。

日米両国の信頼関係強化を強調

最後に、ミネタ前長官は、日本では、弁護士を介さず、お互いの深い信任の下、口頭での約束による商取引が伝統的に行われていることを例に挙げ、日米両国は、このような信頼関係をさらに深めることが必要であり、同盟国として、パートナーとして、友人として、一緒に協力し、グローバル・イシューの解決にリーダーシップを発揮しなければならないと締めくくった。

【国際第一本部北米・オセアニア担当】
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