日本経団連タイムス No.2893 (2008年2月14日)

「日本経団連フォーラム21」2月合宿講座開く

−自身のキャリア振り返って5ヵ年ビジョンをイメージ


昨年5月にスタートした第18期日本経団連フォーラム21は1、2の両日、2月合宿講座を実施した。大久保幸夫リクルートワークス研究所長を講師に、メンバー一人ひとりが自身のキャリアを振り返り、価値観、専門性、才能、社会性など主観的側面に焦点を当て、これからの5ヵ年ビジョンをイメージした。

合宿初日はまず、大久保講師がキャリアを考える視点について講義した。大久保講師はキャリアを考える意味を、(1)より納得感のある職業生活を送るため(2)持続的成長を図るため(3)会社と個人のWin‐Winな関係を実現するため(4)仕事へのモチベーションを高めるため――と解説。さらに、ミドル・シニア期の成長過程を総仕上げ期ととらえ、「知識の消費者から知識の生産者となるよう考える習慣を付けてほしい」とアドバイスし、「知能は現役でいる間は伸びる。知能の最大の敵はブランク」と強調した。

講義に続いてメンバーの中から3名が、これまでのキャリアを振り返り、(1)人生の岐路や転機(2)成長したと思われる重要な経験(3)岐路や転機にどのように行動・選択したか(4)実現した夢や抱負――など、経験から学んだことを発表し、メンバー間で意見を交換した。

合宿2日目は、大久保講師が「キャリアデザインの方法」について講義を行い、プロフェッショナルとして生きることの意味を模索。大久保講師は、40代以降のキャリアを考える視点について、加齢による変化や自身の強み・専門性を自覚し、年齢に適した成長の方法を考える必要性を示唆した。さらに、プロに求められる価値観として、(1)結果がすべて(2)最高品質をめざす(3)オーナーシップ感覚(4)自己管理・自律(5)正義に対する責任――などを挙げ、「自分の仕事を新たに定義しながら、自分で深めていくことがプロフェッショナルである」と語った。

2日間の講義を踏まえメンバーは、才能、価値観、専門性、ステークホルダーとの関係、後輩に残したいもの、社会貢献として残したい結果などについてイメージを言葉にまとめ、これからの5ヵ年ビジョンとして発表した。

メンバーの報告を受け大久保講師は、「仕事を20〜30年続けてきた人は、自身の弱みも強みも価値観もわかっている。これからは自分で選んで、やりたいことに向き合うことが大事」とアドバイスした。

2月合宿講座を最後に、フォーラム21メンバーは3月の修了式に臨み、第18期の講座すべてを修了する。その後、1年間の講座を振り返り、修了レポートをまとめる。

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1980年にスタートした日本経団連フォーラム21は、毎年5月に開講し翌年3月に修了する。今年度18期のメンバー32名を含め、これまでに519名の修了生を送り出した。

参加メンバーは日本経団連会員企業で、トップの推薦を受けた経営幹部。日本経団連会長をチーフアドバイザーに、企業トップ、学識経験者らがアドバイザーを務める。18期は、茂木賢三郎キッコーマン副会長、寺島実郎三井物産常務執行役員・戦略研究所所長、山内昌之・東京大学大学院教授、竹内弘高・一橋大学大学院教授の4氏がアドバイザーとして、講義やディスカッションを通じメンバーの指導に当たった。

【日本経団連事業サービス研修担当】
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