日本経団連タイムス No.2894 (2008年2月21日)

「実践プロジェクトマネジメント」テーマに「日本経団連グリーンフォーラム」合宿講座

−グループ単位での討議、発表も


日本経団連グリーンフォーラムは15、16の両日、福島県白河市のJR東日本総合研修センターにおいて、合宿形式で2月度月例講座を開催した。

1日目の15日は、西村克己芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授を講師に迎え、「実践プロジェクトマネジメント」をテーマに、実際の課題をもとにしたグループ単位での討議、発表を交え、講座が行われた。2日目の16日は、今年度の各講座で学んだことをまとめ、参加者一人ひとりが具体的な「行動計画表」を作成し、発表した。

今回は、研修1日目の概要を紹介する。西村講師の講義概要は、次のとおり。

■ 西村講師講義概要

エジプトのピラミッド建設や日本の忠臣蔵などはプロジェクトで行われた事業であり、プロジェクトは既存の組織と全く異なる価値観で運営されなければならない。プロジェクトは新しい枠組みをつくり、新しいことを始める活動であり、それ自体は新しい構成員による臨時組織である。そこでは、企業内の専門家を組織横断的な集団として活用でき、特定の目標達成に向け、現状打破が可能となる。また、プロジェクトを管理する上で大切なことは、開始から終了までのライフサイクルを明確にし、長期に及ぶものはフェーズで区切りながら進めていくことである。

プロジェクトは臨時にできた組織で行うため、業務プロセスやマニュアルが存在しない。そのために作業の分割構成をWBS(Work Breakdown Structure)の手法で明らかにし、計画と進捗状況の管理をすることが必要である。WBSはモレやダブリがないようロジックツリーで展開し、第3レベルまでをつくることが多い。そのとき、番号付けをする、第1、2レベルでは着手順が早いものを先にもってくる、ハード以外の部分に気を配ることなどが大事となる。組織づくりはプロジェクトの内容によって異なるが、構成員の役割、機能、業務分掌などを、あらかじめはっきりさせておくことが求められる。このような定義付けを実施することにより、構成員の納得度も上がる。起こり得るリスクに対しては、その発生を未然に防ぐ予防策と起きた場合の損失を最低限にする対策を、ともに事前に準備しておくことが重要となる。

具体的にプロジェクトで行う計画を実施する場合、ガイドラインとなるのは、その前提条件、制約条件である。プロジェクトにはルールがないため、すべての決めごととなる「前提条件」、変更が難しく足かせとなる「制約条件」を明確にしていなければ先に進んで行けない。プロジェクトが始まると、進捗状況を管理しながら問題の発生に素早く対応することが必要である。また、しばしば発生する人の間のコンフリクト(葛藤)に対しては、情報の正しい伝達、フォーマットの整備、権限・責任の明確化などの予防策と、企業内に対してプロジェクトへの理解を得る努力をすることが望まれる。

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講義の後、五つのグループに分かれ、演習が行われた。「コンビニの開店」をテーマにグループによる討議を重ね、プロジェクトの主要な手法であるWBSを用い、その第3レベルまで作成した。最後に、各グループから特に議論を要したポイントなどが発表され、西村講師の講評があった。

(第2日の模様は次号参照

【日本経団連事業サービス研修担当】
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