日本経団連タイムス No.2897 (2008年3月13日)

厚労省が第11次労働災害防止計画案策定

−高年齢労働者の安全衛生対策充実、日本経団連の意見反映


厚生労働省労働政策審議会は2月下旬、厚生労働大臣からの諮問事項である「第11次労働災害防止計画案(2008〜12年度)」と通勤災害保護制度の見直し案について、原案は妥当であるとの答申を行った。概要は次のとおり。

1.第11次労働災害防止計画

同計画は、労働災害防止のための主要な対策に関する事項その他の労働災害防止に関し、今後5年間における重要な事項を定めたものであり、厚生労働大臣が労働政策審議会の意見を聴いて策定する。
第11次計画は3月下旬に公示され、4月以降、同計画に基づく具体的施策が展開される。
計画案では、(1)死亡者数を07年(1310人)に比べて20%以上減少させること(2)死傷者数を07年(12万164人)に比べて15%以上減少させること(3)定期健康診断の有所見率(06年49.1%)の増加傾向に歯止めをかけ減少へ転じさせること――を主要目標として掲げ、目標の設定、評価等の実施により的確な推進を図ることを基本的な考え方としている。

同計画の策定にあたり日本経団連では、07年11月に労働法規委員会労働安全衛生部会(清川浩男部会長)において、要望書「高年齢労働者の安全衛生対策の充実に向けて」を取りまとめて厚労省に提出した。
要望書では、高年齢者の就労機会の確保等に対する社会的要請が高まる一方で、高年齢者の労働災害比率が高く、重篤化の傾向にある現状を踏まえて、高年齢労働者の安全衛生対策の充実を訴えた。
特に、官民の連携による取り組みを基本として、(1)全国的な調査・統計の集積などのインフラ整備(2)国民各層への啓発活動の強化(3)高年齢労働者の安全衛生対策を検討する場の設置等――などを提案した。

また、日本経団連では、労働政策審議会での意見反映に努めた結果、同計画案に、「高年齢労働者の身体的特性等についての調査研究の推進」等、高年齢労働者の安全衛生に係る施策が盛り込まれた。

2.通勤災害保護制度の見直し

2月21日に開催された労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会において、家族の介護を行う労働者に係る通勤災害保護制度の見直し(労災保険法施行規則の改正)について諮問・答申が行われた。改正施行規則は今年4月1日施行。

見直し後は、要介護状態の家族の介護を行う労働者が、通勤途上で反復継続して介護行為を行った場合、逸脱・中断の間を除き、通勤災害保護制度の対象に加えられる。

【労政第二本部安全・衛生担当】
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