日本経団連タイムス No.2901 (2008年4月10日)

ゲンツ・ハンガリー外相招き昼食会

−ゲンツ外相、高い労働意欲、インフラ整備など、投資環境の優位性強調


日本経団連は3月18日、御手洗冨士夫会長を表敬訪問したハンガリー共和国のキンガ・ゲンツ外務大臣を招き、東京・大手町の経団連会館で昼食会を開催した。同昼食会には日本経団連側から米倉弘昌副会長らが出席した。同昼食会におけるゲンツ外相のあいさつ要旨は次のとおり。

■ ハンガリー経済の現状

ハンガリーは、1989年に東西欧州を隔てていた鉄のカーテンが最初に開かれた国であり、以来、自由、民主主義等を尊重する国として歩んできている。
変化に国民が取り残されないようにするためのセーフティネットは必要だが、ユーロを導入すべく、さまざまな構造改革に努力している。まず医療については、予防に重点を置くことによって、高齢化への対応と医療負担とをバランスさせるための改革を断行した。また、教育の機会均等を図り、若者が十分な教育を受けられる環境を整備するとともに、労働市場のニーズと高等教育をより密接に結び付けることによって、労働市場における競争力を強化していかなければならない。大学においてITなど社会のニーズに合ったカリキュラムを組むことによって、エンジニア養成訓練を十分に受けられるよう、改革に取り組んでいきたい。
2007年の財政赤字は対GDP比5.7%であったが、09年には2.2%に縮小すると予測されている。決して容易ではないが、ユーロ導入に必要な基準を満たさなければならない。しばらくはEU結束基金を活用して、インフラ整備等に取り組み、効果的に競争力を高めていきたい。07年が最も厳しい状況でGDP成長率は1.3%にとどまったが、08年は2.8%、09年は4.0%と回復に向かうものと予測されている。07年は、サービス業の低迷、農業生産の落ち込みがあったため低成長にとどまったが、製造業が経済全体を牽引しており、輸出は16%、輸入も12%伸びた。

■ ハンガリーの投資環境

投資先としてのハンガリーの優位性として、まず、労働者のスキル、労働意欲の高さを挙げることができる。またインフラは、中欧諸国の中で最も整備されており、整備された高速道路網は、ブダペスト以外に工場を設立する上で、大きな魅力となるだろう。投資企業向けには、職業訓練・再訓練などに対する助成制度が設けられており、また、ブダペスト周辺への工場の集中を避けるため、郊外の工場建設に対する助成制度もある。その他、投資企業を対象とする10年間の法人税減税措置もある。さらに、行政手続きに係るコストも大幅に削減されている。労働許可の有効期間も1年間から2年間に延長された。

■ 日本との経済関係

懸案となっていた日本との間の運転免許の切り替えについて、先ごろ両国間で(実技試験および筆記試験を相互に免除する)交換公文に調印した。また、日本との間の社会保障協定締結に向けて予備協議に入ったところである。さらに、ブダペストの日本人学校には、100名の子女が学んでいる。
日本からハンガリーには既に110社が進出している。また、年間10万人の観光客がハンガリーを訪れている。両国間の貿易については、07年の対日輸出は7.1%、対日輸入は19.5%という高い伸びを記録した。
今後は、自動車・エレクトロニクス分野のみならず、再生可能エネルギーなどの分野で協力していきたい。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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