日本経団連タイムス No.2901 (2008年4月10日)

オグリスコ・ウクライナ外相と懇談

−日本との協力関係拡大を/オグリスコ外相、インフラ整備事業参画望む


日本経団連は3月24日、東京・大手町の経団連会館でウクライナのヴォロジミル・オグリスコ外務大臣との懇談会を開催した。日本経団連からは安西邦夫ウクライナ部会長らが出席した。オグリスコ外相の発言要旨は次のとおり。

■ 順調な経済成長を続けるウクライナ

ウクライナは、ここ数年間で、非常に急速かつ安定的な経済成長を遂げており、投資先としての魅力が高まっている。2007年のGDP成長率は7.3%を記録し、08年初の外国直接投資残高は295億米ドルに達している。
現在は、政府行動計画「ウクライナの躍進=政治家のためではなく国民のために」の策定作業を進めている。この計画には、ウクライナの経済・社会・政治改革や国際的イニシアチブの確立に向けた、さまざまな方策が盛り込まれている。

■ 対EU経済関係

今年2月、ウクライナはWTO加盟に関する合意文書に署名した。WTOへの加盟は世界経済への統合を加速するものであり、大変意義深い。さらに、EUとの間では、WTO加盟後、自由貿易協定(FTA)の締結交渉を開始することが合意されている。EUとのFTAの締結は、EU・ウクライナ双方にメリットをもたらすと確信している。

■ 対ロシア経済関係

友好国であるロシアとの経済関係も重要であり、特に、エネルギー分野における協力は最も優先度が高い。長期的な視点に立ち、ロシアとウクライナ両国に恩恵をもたらすエネルギー供給の形態を模索していくことが重要である。ロシアとの合意に基づいた形で、欧州に対して安定的にガスを供給し、中継国としての責務を果たしていきたい。

■ 対日経済関係

ウクライナでは、石炭、石油、ガスに原子力を含めた、エネルギーの開発・利用の推進を戦略的目標の一つとしている。また、農業の生産性向上を図るべく、農業の近代化を進めている。土地・不動産の収益性はヨーロッパ諸国と同様に高く、日本企業にも土地関連部門への参入を検討してほしい。
インフラ整備に関するプロジェクトも推進されており、日本企業にも空港、橋梁、道路建設などのインフラ整備事業にぜひ参画していただきたい。
日本との協力関係は、GUAM諸国(グルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバ)の枠組みでも拡大しており、今後はエネルギー、観光のみならず、効率的な物流体制の構築の面でも協力を進めたい。
また、自動車部品や家電製品など製造業における協力も有望である。わが国の金融部門に対する投資の魅力も高まっている。
さらに、わが国は京都議定書において年間2億5000万トンの温室効果ガスの余剰枠を有しており、環境技術に関する協力も有望である。今後、京都メカニズムにおける共同実施(JI)や、グリーン投資スキーム(GIS)などに取り組んでいきたい。
日本経団連との間で今年2月に開催した第1回日本ウクライナ経済合同会議は、両国間の経済関係強化への第一歩である。ウクライナはあらゆる経済分野で、日本との協力関係の拡大を望んでいる。日本企業が参画するプロジェクトには、政治的にも支援を行っていく。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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