日本経団連タイムス No.2902 (2008年4月17日)

トウィーディー国際会計基準審議会議長と意見交換

−国際会計基準の今後を聴く/経済法規委企業会計部会


日本経団連は8日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会企業会計部会(八木良樹部会長)を開催し、国際会計基準(IFRS)を策定している国際会計基準審議会(IASB)のトウィーディー議長から最近のIFRSをめぐる状況について説明を受けるとともに意見交換を行った。

IFRSは、既にEUにおいて統一基準として使用されているのみならず、米国証券取引委員会(SEC)が昨年、米国に上場する外国企業に対して使用を認めるなど、その存在感が世界的に高まってきている。これらの状況を受け、企業会計部会では、今後のわが国における会計基準のあり方について検討を進めており、今回の会合は、その一環。トウィーディー議長の説明概要は次のとおり。

1.IFRSの現状

一つの会計基準が世界中で使用されることで、財務報告の質は高まり、世界の市場からの資金調達を容易にするだけではなく、そのコストが軽減される等、企業にとってのメリットは大きい。昨年は、中国が初めてIFRSを使用した年であり、さらに、韓国、インド等、アジアの主要国がIFRSの採用を表明するなど、大きな動きがあった。

現在、米国財務会計審議会(FASB)とIASBは、それぞれの会計基準間に存在する差異を取り除くべく、共同作業を進めている。作業は大きく短期項目と中期項目に分けられ、短期項目については2008年末までに、中期項目の多くについては、今後3年〜3年半の間で作業が行われる見込みである。

2.米国の状況

SECは、昨年11月に、米国上場の外国企業に対して、IFRSを使用することを認めた。さらに、米国企業に対してもIFRSの採用を認めることについてコンセプトリリースを公表した。米国の関係者によると、近いうちに、米国国内企業にもIFRSをオプションとして採用することを認めることが提示される可能性がある。もし、この案が実現すれば、IFRSの主要な利用者は、世界最大の資本市場を有する米国の上場企業となるかもしれない。

3.各国国内会計基準設定主体の今後

現在進行中のコンバージェンス作業が終了し、世界中でIFRSが採用されることとなっても、各国国内会計基準設定主体の果たす役割は大きい。米国FASBや日本の企業会計基準委員会(ASBJ)のような各国の会計基準設定主体には、IASBの開発基準に対する助言、各国固有の問題点に関する理解の手助け、新たな基準開発に際しての先駆的役割等が期待される。日本のASBJも積極的に作業に貢献してほしいし、現在、FASBとIASBの間で検討が進められている財務諸表の表示方法などについても早い段階からの意見発信が重要である。

◇◇◇

企業会計部会では、引き続き、今後のわが国会計基準に対する経済界のスタンスについて、検討を進めていく。また、9月にも再びトウィーディー議長を招いて会合を開催する予定である。

【経済第二本部税制・会計担当】
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