日本経団連タイムス No.2910 (2008年6月26日)

提言「全員参加型の低炭素社会の実現に向けて」発表

−省エネ・省CO2大国ニッポン確立と形成へ


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は17日、「全員参加型の低炭素社会の実現に向けて〜省エネ・省CO2大国ニッポンであり続けるために」を発表した。

今年7月に洞爺湖で開催されるG8サミットでは、地球温暖化問題が最重要テーマの一つになっている。こうした中、9日には福田総理から、地球温暖化防止に関する基本方針が示されるなど、低炭素社会の実現に向けた取り組みが急務となっている。わが国は、オイルショック後の経験を通じ、世界トップ水準のエネルギー技術を開発し、世界に誇れる「省エネ大国ニッポン」を築いてきた。今後ともこれまでの取り組みに安穏とすることなく、「省エネ・省CO2大国ニッポン」を掲げ、政府・自治体・企業・国民が、連携しながらそれぞれの役割を果たす意思と行動が必要である。

そこで今般、エネルギーの需要面と供給面の双方に着目し、家庭部門の省エネ対策など、国民生活に関係が深く、国民の理解なくして進展が期待できない事項を中心に提言を取りまとめた。概要は次のとおり。

1.「省エネ大国ニッポン」の確立に向けて

(1) 産業界も最大限努力

わが国の産業部門は世界最高水準のエネルギー効率を達成してきた。産業界は、今後とも自ら掲げる「CO2削減のための環境自主行動計画」を柱に据え、産業部門はもちろん、民生・運輸部門のCO2排出量の削減にも努力する方針である。

(2) 家庭部門における省エネ化

わが国の家庭部門におけるCO2排出量は、2006年度において基準年である1990年と比べ、約3割増となっており、家庭部門の対策が急務である。国民一人ひとりが、「省エネ大国ニッポン」の確立に向けて主体的に取り組むとともに、企業や政府・自治体も国民のライフスタイルの変革を支援していくことが重要である。

具体的には、企業は省エネ性能の優れた製品の開発・商品化に取り組むとともに、国民に対してわかりやすい省エネ情報を提供する必要がある。他方、政府・自治体はサマータイム制度の実現や、CO2削減効果の大きい省エネ機器等の購入に対し、税制上・財政上の措置を講じるべきである。その上で、国民は正しい省エネ知識をもとに、エネルギー効率の高い機器への買い替えなど、賢い製品選択を行うことを期待したい。特に家電製品や自動車など、リサイクル体制が整っている製品は資源の有効利用も確保されていることから、高効率機器への早期買い替えも環境にやさしい行動の一つとして国民が認識するようにする必要がある。

2.「省CO2大国ニッポン」を形づくるために

エネルギー供給面では、量・質の両面で低炭素化の切り札となる原子力発電の積極活用が必要である。特に安全確保を大前提とした原子力発電の利用率の向上が重要である。太陽光発電等の再生可能エネルギーについては、現状、安定供給やコスト面の課題があることから、諸課題を解決するための研究開発や、コスト負担についての国民的な議論が必要である。

【産業第三本部資源・エネルギー担当】
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