日本経団連タイムス No.2912 (2008年7月10日)

第1回電子行政推進委員会開催

−国民視点に立った電子行政実現に向けて活動を開始


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は6月26日、東京・大手町の経団連会館で、新設された電子行政推進委員会(秋草直之共同委員長、渡辺捷昭共同委員長)の第1回会合を開催し、約170名の委員が出席した。同会合では、秋草共同委員長の司会で、来賓の坂篤郎内閣官房副長官補と南俊行内閣官房内閣参事官から、政府の電子行政の推進に向けた取り組みについて説明を受け、意見交換を行った。

冒頭、秋草共同委員長から、わが国社会全体の効率性・生産性を向上させ、産業の競争力優位を確保する上で先進的な電子行政の実現が不可欠であり、世界一便利で効率的な電子行政をめざした政府の取り組みを加速するため、5月の日本経団連総会において「電子行政推進委員会」が新設された経緯について説明があった。

続いて、坂内閣官房副長官補から、政府では、2006年からIT新改革戦略に基づき、世界一便利で効率的な電子行政をめざした取り組みを進めており、その中で掲げた目標を確実に達成するとともに、2010年以降も視野に入れたIT政策ロードマップを6月に策定したとの説明があった。また、国民・企業向けのフロント業務と旅費業務などの内部管理業務の電子化の推進においては、福田首相から「何事もスピード感を持って取り組むべき」との指示があり、5年間の計画を2年間に加速化したことが紹介された。内部管理業務については、御手洗会長の「政府の今の仕事をそのままIT化するのでは無駄が生じる。BPR(業務改革)を前提にIT化すべき」との助言により、民間の先駆的な事例を参考にして、BPRを前提に規定等を全府省で統一化・標準化し、府省共通システムの実施など、内閣官房主導で強力に進めていくとの方針が示された。

南内閣官房内閣参事官からは、具体的な電子行政推進の政府のアクションプランの説明があり、「オンライン利用拡大に向けた取り組みの抜本的強化」「引越・退職手続の先行的ワンストップ化」「電子行政サービスの利用手段の多様化」を2年で進め、さらに、基本的枠組みの整備として次期通常国会に法案提出をめざし、「電子行政推進法(仮称)の整備および推進体制の強化」を行うと述べた。また、政府のさまざまな検討チームへの日本経団連会員企業の参加と同委員会からの政府への提案など、官民の連携による推進に強い期待が示された。

意見交換では、委員から、「公的個人認証は大変使いづらく、IDとパスワードなど民間で普及している方法も含め検討すべき」「利用端末のユビキタス化をもっと進めるべき」「個人・企業等の認識コードを統一するため哲学を持つべき」などの意見が出された。

意見交換終了後、今後の委員会の活動として「電子行政推進法(仮称)の日本経団連案の作成」「個人・企業等に対する認識コードの統一」等について部会およびワーキンググループで検討を進め、11月を目途に提言をまとめるとともに、国民視点に立った世界一効率的で便利な電子行政のデザイン化も並行して進めていくことが了承された。

閉会あいさつで秋草共同委員長は、電子行政の実現に向けて政府と協力するとともに、産業界の立場から言うべきことはしっかりと表明し、具体的なアクションを起こしていきたいと述べた。

【産業第二本部情報通信担当】
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