日本経団連タイムス No.2915 (2008年7月31日)

御手洗会長がフォーラム終了後に張副会長と記者会見

−「実践的で示唆に富む議論」


日本経団連の御手洗冨士夫会長は25日、静岡・小山町の経団連ゲストハウスで行われた第7回東富士夏季フォーラムの終了後、同フォーラムの議長を務めた張富士夫副会長とともに記者会見を行った。

今回のフォーラムの所感を求められた御手洗会長は、フォーラムでは、実践的で示唆に富む議論がなされたので、今後はそれを日本経団連の各担当委員会などでさらに深く議論し、それぞれの課題に対する取り組みを行っていくと述べた。さらに、「今回のフォーラムの共通テーマは、危機をチャンスに変えるということだったと思う。日本は第一次、第二次オイルショックという危機を、技術を飛躍させることで乗り越え、その後の数年間、世界経済のリーダーとなった」と指摘。今回の危機的状況についても、これを技術改革によって乗り切った国が、世界経済のリーダーになると語り、技術立国とイノベーションの重要性を強調した。

税体系全体の見直しの一環としての消費税率の引き上げについて、具体的実施時期などを問われた御手洗会長は、単に消費税がどうこうというのではなく、税収全体に占める法人税の割合が他の国に比べてかなり高いなど特殊というべき日本の税体系全体を見直し、バランスのよい課税を行うべきであると述べた上で、「景気対策を考えると消費税を上げる一方で、減税も考える必要がある。また、足元の景気を見れば、今すぐ消費税を上げるということはない。今は、将来に向かっての税制の方向性をきちんと検討すべき時である」との考えを示した。

2011年のプライマリーバランスの黒字化が危ぶまれている状況について御手洗会長は、「国際的な公約、国の内外に示した約束だから、どんなことがあっても守らなければならない」と述べ、ぎりぎりの歳出カットを前提に税制抜本改革が不可欠であることを強調した。また、ねじれ国会については、「ねじれ状況が改革を遅らせている。ねじれ現象の中で与野党が国益、国民生活本位、国民の視線に立った政策議論を行い、改革を粛々と進めていく。そういう運営のあり方をいち早く確立してほしい」と要望した。

6月の全国消費者物価指数(CPI)が高い伸びを示したことについては、「欧米に比して日本は低い水準にあるものの、個人消費に与える影響はある」との見方を示した上で、政府に対し、「資源インフレ、米国の景気落ち込み・ドル安という、物価高の背景をよく見て慎重な経済運営を行ってほしい」と注意を促した。

【社会第一本部広報担当】
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