日本経団連タイムス No.2915 (2008年7月31日)

道州制シンポジウムを仙台で開催

−「道州制は究極の構造改革」/御手洗会長、日本経団連の考え強調


日本経団連(御手洗冨士夫会長)と経済広報センター(同)は17日、仙台市において、東北経済連合会(東経連、幕田圭一会長)、内閣官房との共催により「東北の未来と道州制を考えるシンポジウム」を開催した。日本経団連は、道州制導入に向けた国民的な気運を高めるべく、昨年度から全国各地でシンポジウムを開催しており、今回は今年度の1回目のシンポジウム。当日は、日本経団連および東経連の会員や、経済広報センターの社会広聴会員、地方自治体関係者、一般参加者など、約430名が参加。幕田東経連会長と御手洗会長の主催者あいさつ、江口克彦・道州制ビジョン懇談会座長の基調講演に続いて、パネルディスカッションでは活発な討議が行われた。

■ 幕田東経連会長、御手洗会長主催者あいさつ

幕田東経連会長は、まず地方分権の推進が不可欠であり、東北地域の活性化につながり、地域の人々にとっても真の豊かさを実感できる道州制であれば賛同するとし、高速交通体系などの社会資本整備や医療・福祉などの公的サービスの地域間格差を道州制移行前にできるだけ解消することが不可欠であると述べた。

続いて御手洗会長は、道州制は地方分権改革や国・地方を通じた行財政改革などを含む「究極の構造改革」であるという日本経団連の考えを改めて強調した。また、ベルギー、スイスなど欧州の中規模諸国とほぼ同程度の人口や経済規模を持つ東北が一体となって産業振興に取り組めば、北東アジア経済圏の中心になることも夢ではないとの期待を示した。

■ 基調講演

江口・道州制ビジョン懇談会座長は、東京のみが繁栄する状況が続く中央集権体制を打破しなければならないと指摘。2010年3月までにまとめる道州制ビジョン懇談会の最終報告では、税財政制度のあり方や区割り、基本法の案についても示したいと述べた。

■ パネルディスカッション

続くパネルディスカッションには、増田寛也・道州制担当大臣、村井嘉浩・宮城県知事、田村秀・新潟大学教授、池田弘一・日本経団連道州制推進委員会共同委員長がパネリストとして参加。「道州制で描く日本と東北の未来」をテーマに、各界の議論・検討状況や、道州制で達成される姿、課題や決意表明などについて、佐々木恭之助・東経連副会長をコーディネーターに、活発な議論が行われた。

増田大臣からは、道州制の下では、地方議会の条例制定権の拡大や、基礎自治体の行財政能力の強化、東北の自動車産業などのような経済産業振興が可能になるとの発言があった。

また、池田共同委員長は、東北大学と企業との産学連携や広域的な観光振興は、道州制導入でより効果的になると述べた上で、2010年までに「道州制推進基本法」(仮称)を制定するよう増田大臣に要望した。

最後に、中村邦夫・日本経団連副会長・道州制推進委員長があいさつし、今こそ道州制の議論を総論から各論へ進めるべきであり、道州制導入による国民生活へのメリットはもちろん、区割りや消費税の問題について避けずに議論していくことが必要と述べてシンポジウムを締めくくった。

【産業第一本部行革担当】
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