日本経団連は7月23日、東京・大手町の経団連会館で知的財産委員会(野間口有委員長、足立直樹共同委員長)と産業問題委員会(原良也共同委員長、西田厚聰共同委員長)の合同会合を開催した。
会合では、内閣官房知的財産戦略推進事務局の素川富司事務局長から、今年6月に知的財産戦略本部がまとめた「知的財産推進計画2008」について説明を聴取し、意見交換を行った。
素川事務局長は、「グローバルな競争環境の中で、技術革新や市場変化のスピードが飛躍的に上がってきている。世界の潮流として、各国は、幅広い業種におけるオープンイノベーションの加速や、デジタル・ネットワーク化に対応した知財制度の構築、さらに国際標準化活動の強化による知財の世界市場への展開に積極的に取り組んでいる。わが国としても世界をにらんだ知財戦略の下、状況の変化に迅速に対応していかなければならない」との問題認識を示した上で、「知的財産推進計画2008」のポイントについて説明を行った。説明の概要は次のとおり。
(1) 国際展開につながる基本特許の獲得
(2) オープンイノベーションへの対応
(3) コンテンツ産業の振興
(1) 模倣品・海賊版対策の強化
(2) ビジネスの安定性確保
(1) 知財制度の国際調和に向けた取り組みの強化
(2) 著作権制度の国際調和に向けた取り組みの強化
説明後に行われた素川事務局長との意見交換では、日本経団連側から「資源を持たないわが国は、知財で富を獲得していかなければならない。知財政策の展開にあたっては、オープンイノベーションによる海外との連携の中でいかに利益を確保していくのか、バランスを考えておく必要がある」との意見が出された。これについて素川事務局長は、「わが国の富と競争力を高めることが知財政策の大前提である。オープンイノベーションを通じた海外との連携により日本の企業や大学の競争力の向上を促し、わが国の利益が最大化するよう取り組んでいきたい」との見解を示した。
今後、日本経団連では、「知的財産推進計画2008」に盛り込まれた取り組み課題について、知的財産委員会と産業問題委員会が連携し、フォローアップを行っていくこととしている。