日本経団連タイムス No.2916 (2008年8月7日)

韓国の電子行政の進捗状況と成果で説明聴く

−電子行政推進部会が第1回会合


日本経団連の電子行政推進委員会電子行政推進部会(遠藤紘一部会長)は7月23日、東京・大手町の経団連会館で第1回会合を開催し、日韓両国の電子行政に精通している韓国選挙管理委員会選挙研修院の高選圭教授を招き、韓国の電子行政の進捗状況と成果について説明を聴いた。

まず、高教授は、韓国で行政の電子化が進んだ背景として、財政悪化に伴う人件費抑制のための公務員削減の必要性、政治の腐敗による国民の不信感の高まりがあり、電子化による行政業務の効率化、透明化が不可欠な状況であったと述べた。その上で、今では、役所で行った申請手続の処理がどこまで進み、いつごろ完了するのかを申請者が自宅のパソコンから確認できるようになり、行政の透明性が向上するとともに業務の効率化にもつながっており、電子行政は国民の高い支持を得ていると説明した。

また、高教授は、韓国では行政情報共同利用センターを設立し、官民共同で組織する行政情報共有推進委員会の下、各府省庁が管理するデータベースの連携を進めた結果、申請手続の際の添付書類の削減が進み、国民にとっての利便性が向上したばかりでなく、コストの大幅削減にも寄与し、社会経済効果は年間2900億円に上ると語った。さらに、今後、情報共有が高度化するにつれて申請手続そのものが不要になるとの見解を示した。

最後に、高教授は、前大統領が行政の電子化をマニフェストとして掲げ、大統領直轄の委員会を設置し、自ら積極的に推進したことが電子行政の実現に大きく寄与したと強調した。

続く意見交換で、公務員が行政業務の見直しや透明化に真摯に取り組んでいるかとの委員からの質問に対し、高教授は、「韓国では、5〜10年間の契約で民間企業から一時的に公務員になる制度があり、民間出身の公務員が電子行政推進組織にも入っているため、実効的な電子化が図られている」と回答した。

そして、高教授は、日本の電子行政実現に向け、インフラ面、技術面では障害はなく、行政トップが決意を固めリーダーシップを発揮することが重要であると指摘して説明・意見交換を締めくくった。

また、当日は、電子行政推進の方向性について議論し、法的根拠を持って電子行政を推進するための法制度や体制を日本経団連として提言する必要があることを確認した。

【産業第二本部情報通信担当】
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