日本経団連タイムス No.2916 (2008年8月7日)

新しい次世代育成支援制度のあり方など聴取

−少子化対策委員会企画部会


日本経団連の少子化対策委員会企画部会(福島伸一部会長)は7月23日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催した。会合ではまず、駒村康平慶應義塾大学経済学部教授から、新しい次世代育成支援制度の今後のあり方について説明を聴取した。

駒村教授は、少子化の進行による社会保障財政悪化の危機感を社会全体で共有し、包括的な家族支援政策を行うべきであり、特に団塊ジュニアの出産適齢期を考慮し、女性の労働力率の維持・向上と出生率の上昇を同時に実現させるための施策を緊急的に推進する必要があると強調した。

その上で、対策のカギは、(1)仕事と家庭の両立支援 (2)良好な育成環境の普遍的保障に向けた社会基盤の再構築――にあり、特に両立支援の重要な社会基盤である保育所については、そのサービスの提供にあたり従来の考え方を切り替え、直接契約方式と利用者補助方式を組み合わせた新たな仕組みに刷新すべきだと述べた。また保育所拡充の財源は、利用者に加え、受益者である企業や国民全体も負担すべきとして、公費(消費税収)や現在の児童手当拠出金等を統合した「ワーク・ライフ・バランス拠出金」を充てることを提案した。

続いて、事務局から、政府の少子化対策にかかわる審議経過が報告され、企画部会としては、政府における秋以降の具体的な制度設計に関する審議に対応し、今後も検討を深めていくことを確認した。このほか、前国会において廃案となった児童福祉法および次世代育成支援対策推進法の改正法案の今後の見通し、東京都の事業所内保育施設の整備補助制度について説明した。

最後に、こども未来財団が6月に公表した「フランスにおける子育て支援とワーク・ライフ・バランスに関する調査研究報告書」について、同財団の磯部文雄常務理事から説明を聴取した。

この中で、フランスの高出生率の背景として、保育ママ、保育学校などが充実していること、教育費負担が少ないこと、勤務時間が短く、柔軟であることなどを挙げ、わが国においても、保育ママ利用や保育所・幼稚園の拡充、教育費の軽減、恒常的な長時間労働の是正や短時間勤務の活用など、参考にすべき点が多々あるとの説明があった。

【経済第三本部国民生活担当】
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